材質・条件別、目的にあったオススメのコーヒーサーバーの選び方!
【2018-09-29】
コーヒーサーバーについて
ハンドドリップでコーヒーを淹れるときに必要な道具は?と聞かれると、コーヒーポットやドリッパー、フィルターが思い浮かぶと思いますが、もう一つ、大切ですがついつい忘れがちなものがあります。それは、コーヒーを受けるコーヒーサーバーです。
コーヒーを受け止めるための容器
言うまでもありませんが、コーヒーサーバーはドリップされたコーヒーを受け止める容器のことです。コーヒーサーバーは、三角フラスコのような形のガラス製の容器にプラスチックのハンドルが付いていて、側面にはどれくらいコーヒーを抽出したか分かるようにメモリが刻まれている製品が一般的です。
フレンチプレスやマキネッタでコーヒーを淹れる場合、それ自体が抽出後のコーヒーを淹れる道具と受ける容器を兼任するためコーヒーサーバーは必要ありませんが、挽いたコーヒー豆にコーヒーポットでお湯を注いでコーヒーを抽出する、いわゆるプアオーバーと呼ばれるハンドドリップでは、コーヒーサーバーは欠かせない存在です。
コーヒーサーバーの種類と使い分け
コーヒーサーバーは、前述したようなガラス容器にプラスチックのハンドルが付いた製品が一般的ですが、それ以外にもステンレスやホーローといった、様々な材質のものがあります。また、大きさも形も製品によって異なり、一度にどれだけの量のコーヒーを淹れるのか、どのくらいのサイズのドリッパーを使用するのか、コーヒーを淹れた後にどのくらいコーヒーを保存しておくのか、といった条件によって、使うべきサーバーは異なってきます。
ここでは、コーヒーを淹れるシチュエーションや好みの条件合わせて選ぶべきコーヒーサーバーについて紹介していきたいと思います。
コーヒーサーバーの種類
普段、雑貨屋などで買い物などをしているとき、コーヒーサーバーの種類はあまり多くは見かけないと思いますが、実際には沢山の種類のコーヒーサーバーが世に出回っています。その中から種類別にいくつか製品をピックアップし、その特徴や使用するべきシチュエーションを見ていきましょう。
定番のガラス製コーヒーサーバー
コーヒーサーバーは、ガラス製のものがほとんどです。というのも、コーヒーを淹れる場合、ドリッパーから落ちたコーヒーがどれくらいサーバー内に溜まっているのか、透明な素材の容器でないと、目視で判断することができないからです。
ただ、ガラスは可視性は高いですが保温性は高くはないため、コーヒーを淹れてからそのまま長時間保存しておくことには向いていません。ですが、それを補う特性として、ほとんどのガラス製サーバー電子レンジで直接加熱することが可能で、コーヒーが冷めてしまってもサーバーごとレンジで温めて直して飲むことが出来ます。
ガラスの容器にプラスチックや木製のハンドルの付いた定番の形のコーヒーサーバーは、比較的に値段も手頃で扱いやすいでしょう。メリタやカリタ、ハリオといった大手のコーヒー器具メーカーはどこもこのタイプのコーヒーサーバーを販売していますので、同じメーカーのドリッパーを持っていたら、それに合わせてサーバーを選んでみるのも良いかもしれません。
ただし、この手のサーバーはガラス容器にネジでプラスチックなどハンドルを固定しているため、洗い物の際に容器とハンドルの間に水が入ってしまう事があり、手入れに少々難があるという側面もあります。
ガラス製のサーバーでも、ハンドルまでガラスの製品もあります。こちらは全てガラスになっているため、見た目が個性的で、ガラスにプラスチックや木製のハンドルがついたものよりも手入れがしやすいですが、ガラス同士の接合箇所であるハンドル部分の強度は低くなるため壊れやすく、取扱いにはいっそうの注意が必要です。
どの種類のコーヒーサーバーも、大体が300ml〜800mlくらいの容量で、3サイズほど用意されています。一度に淹れるコーヒーの量に合わせて、サーバーの大きさも決めると良いでしょう。
- とりあえずコーヒーサーバーが欲しい(形状などにこだわらない)
- 汎用性の高いコーヒーサーバーが良い
という人は、ガラス製のコーヒーサーバーを選ぶのがオススメです。
保温性の高いステンレス製のコーヒーサーバー
ガラスの他には、ステンレス製のコーヒーサーバーがあります。ステンレス製なので作りは丈夫で、ガラスと違って雑に扱っても壊れる心配はありません。また、ガラス製のサーバーよりも保温性に優れた製品が多く、コーヒーをドリップした後、なるべく長く温かいままで保存しておきたい場合にオススメです。
ステンレス製サーバーの欠点としては、ガラスとは違って素材が透明ではないため、ドリップしたコーヒーがサーバーにどれだけ入っているのかわからない、という点があります。そのため、ステンレス製のサーバーでコーヒーを淹れる場合は、キッチンスケールを使用してコーヒーの抽出量を量りながらコーヒーを淹れるか、窓付きのドリッパー(後述)を使用してコーヒーを淹れるのが良いでしょう。
ステンレス製のコーヒーサーバーの多くは、淹れたコーヒーをそのまま保温できるように、魔法瓶のような保温タイプの構造のものが多いです。このタイプは、素の状態で置いておく分には長く保温できて良いのですが、電子レンジも直火の加熱もできませんので、もし温め直したくなったときは、サーバーからコーヒーを取り出して温め直す必要がある点には注意が必要です。ただし、遠藤商事のコーヒーサーバーなど、ステンレス製でも保温タイプでないものは直火にかけても良いものもあるので、自分の好みに合ったものを選びましょう。
- 淹れたコーヒーを長時間保温したい
- 丈夫なコーヒーサーバーが欲しい
という人は、ステンレス製のコーヒーサーバーを選ぶと良いでしょう。
珍しいホーロー製のコーヒーサーバー
ガラスやステンレス以外の材質だと、ホーローでできたコーヒーサーバーがあります。材質別のコーヒーポットの選び方でもホーローについて紹介したことがありますが、ホーローはアルミなどの金属にガラス質の釉薬を焼き付けたもので、内部が金属であるため強度が高く、ニオイがつきにくい材質です。また、ホーローは分厚く保温性にも優れていて、直火にかける事も可能です。
ただ、ホーロー製のコーヒーサーバーはそもそもの製品の種類が少なく、大手コーヒー器具メーカーではカリタしか販売していません。ホーロー製のサーバーが欲しい場合は、カリタのものを買うか、街の雑貨屋を回って見つけるしかないでしょう。
コーヒーを受けられるなら、何でもOK!
いくつかコーヒーサーバーを紹介しましたが、実際のところ、ドリップしたコーヒーを受けるのはコーヒーサーバーで無くても構いません。ドリッパーが乗ってコーヒーを受けられるのであれば、茶碗でもコップでも丼でも、サーバーとしてしまって良いのです。
しかし、わざわざハンドドリップでコーヒーを淹れるのに、コーヒーが落ちていく先は茶碗、なんていうのはなんだが風情がありません。そこでサーバーとしてオススメしたいのが、実験用のビーカーです。
サイズにもよりますが、ドリッパーがちゃんと乗り、価格も安価で注ぎ口もあり、何より理科の実験をしているような気分で楽しくなります。こういったビーカーのように、コーヒーサーバー製品にこだわらず、自身が楽しくコーヒーを淹れられるサーバーを探してみるのも、コーヒーを淹れる上での楽しみの一つと言えるでしょう。もちろん、機能性を重視し、コーヒーサーバーを選ぶのも間違いではありません。自分にあった道具を選んで上手に使うことが最も大切です。
コーヒーサーバーにあったドリッパーを選ぼう
基本的には気にすることはありませんが、状況によってはコーヒーサーバーとドリッパーの相性が悪く、組み合わせて使用できない場合があります。サーバーとドリッパーを組み合わせる際の注意点について、いくつかピックアップしてみます。
コーヒーサーバーとドリッパーのサイズに注意
まず、コーヒーサーバーの口が大きく、ドリッパーの土台部分が小さい場合、ドリッパーをサーバーに乗せることができない場合があります。このようなシチュエーションは、大きめのサーバーに1人用の小さなドリッパーを組み合わせて使おうとしたときなどに考えられます。
こういった事にならないためには、使用するサーバーとドリッパーのサイズを合わせるのが大切です。1〜2人分のコーヒーを淹れるのであれば、小さい300ml〜400mlくらいのサーバーに、1〜2人用のドリッパーを組み合わせるのが良いでしょう。また、ドリッパーはサイズが大きくなると土台部分も大きくなるので、あえて大きめのドリッパーを使用するというのも一つの手法です。
また、サーバーのドリッパーを直接乗せるのではなく、”ドリップスタンド”と呼ばれるドリッパーを乗せるための専用の台を使用してコーヒーをドリップすれば、こういったサーバーとドリッパーのサイズの違いによる問題を解消することが可能です。
ただし、ドリップスタンドにもサイズがあるので、使用する場合はそちらにも気をつけて選ぶようにしましょう。また、ドリップスタンドはコーヒーを淹れる上で必須の道具ではありませんので、コーヒーサーバーとドリッパーが問題なく使用できるのであれば、あえて用意する必要もありません。
サーバーの中が見えない場合は窓付きのドリッパーを
ガラス製のコーヒーサーバーであれば問題ないのですが、ステンレスやホーロー製のサーバーを使用する場合、中が見えないため淹れたコーヒーがどれくらい入っているのか目視で分かりません。そういった場合は、前述のドリップスタンドを使用してサーバーとドリッパーの間からコーヒーの量を確認したり、直接ドリッパーをサーバーに乗せる場合は、窓付きのドリッパーを使用するのが良いでしょう
窓付きのドリッパーは、ドリッパーの土台部分に穴が空いている事で、サーバーが不透明であっても、どれくらいコーヒーがドリップされたのかを目視で確認することが可能です。また、サーバーだけではなく、マグカップなどに直接ドリッパーを乗せてコーヒーを淹れる場合にも、この窓付きのドリッパーは非常に便利です。
その他、目視ではなくても、キッチンスケールを使用すれば重さでどれくらいの量のコーヒーを淹れたか確認することが可能です。特にハリオのドリップスケールは、重さと抽出時間を同時に測る事ができるので、普段のコーヒーを淹れるのにもピッタリです。
水は1gあたり1mlと考えて良いので、例えば200mlのコーヒーを淹れたい場合は200gになるまで、グラム数を量りつつコーヒーを淹れることで、サーバーの中身が見えずとも好きな量のコーヒーを淹れることが可能です。
サーバーとドリッパーの相性を気にしたくなければセット製品
サーバーとドリッパーの組み合わせや、ドリップスタンドの必要の有無などを確認するのは面倒!という人は、サーバーとスタンド、ドリッパーがセットになったモノを購入するのが良いでしょう。それぞれがピッタリとマッチするように作られているので快適なドリップが可能で、インテリアとしても映えるのがセット製品の良いところです。
セット製品に難点があるとすれば、価格が少々高めという点です。原因は主にドリップスタンドが付属する為なのですが、セットのものに関してはドリップスタンドありきですので、値段が気になるのであれば、サーバーとドリッパーを個別に購入して組み合わせるようにしましょう。
自分にぴったりのコーヒーサーバーを見つけるには?
コーヒーサーバーも種類が多く、器具にもこだわりたい人にとってはどれを選ぶべきか迷ってしまうと思います。そんな人のために、どのような基準でサーバーを選べば良いのか、いくつか例を上げてもう少し掘り下げてみたいと思います。
住環境のスタイルに合わせて選ぶ
例えば、色の好みです。部屋やキッチンに色物、柄物を置いておくのが好きな人は、無色透明のガラス製のコーヒーサーバーよりも、ステンレス製やホーロー製の、色付きのサーバーを選ぶと、キッチンに上手く馴染むでしょう。
逆に、色物は少ないほうが良い、無骨な方が良いという場合は、ガラス製のサーバーや色のついていないステンレス製サーバーを選ぶと良いでしょう。
また、キッチンの道具はある程度同じブランドで統一されている、という場合には、コーヒー器具も統一するという意味で、サーバー、ドリッパー、ドリップスタンドのセット製品を選ぶのが良いかもしれません。
機能性・取り回し重視で選ぶ
コーヒーサーバーは使い勝手を重視!という人は、サーバーの機能性や取り回しを優先で考えてみます。例えば、電子レンジでサーバーごとコーヒーを温め直すことがある人は、ガラス製のサーバーを、直火にかけたい人はホーロー製のサーバーを選ぶのが良いでしょう。
電子レンジにも直火にもかけない人は、保温能力に優れた製品の多いステンレス製のサーバーが良いかもしれません。ただし、ステンレス製のサーバーは目視でコーヒーの容量が確認できませんので、保温効果にこだわらない場合は、ガラス製のサーバーでも良いでしょう。
セット製品は、サーバー、ドリッパー、ドリップスタンドがそれぞれ専用のものなので、ぴったりハマって取り扱いやすいという意味で非常に機能性は高いと言えますが、逆を言うとそれらのセットのどれか一つが欠けると使用に難がでてきます。状況によってメリット・デメリットがあると考えると良いでしょう。
その他に、取り扱いを気にしなくて良いものが欲しい、という場合には、壊れやすいガラス製のものよりも、雑に扱っても壊れないステンレス製のサーバーが良いかと思います。
どんな状況にも対応できるようにする
普段は一人でコーヒーを飲むけれど、ときどき大人数のコーヒーを淹れる必要もある、という場合には、素材にかかわらず大きめのコーヒーサーバーを購入しておくと、あらゆる状況に対応しやすいでしょう。もちろん、普段使うものと来客用の2サイズを用意しておくと、なお良いかもしれません。
ただし、サーバーが大きくなれば、小さなドリッパーが直接サーバーの上に乗らなくなってしまう事も考えられます。そういった場合にはドリップスタンドを用意するか、大きいドリッパーを合わせて準備しておく必要がありますので、その点は考慮しておきましょう。
また、少人数にも大人数にも対応するという点ではフレンチプレスも選択肢としてアリかもしれません。
サーバーを変えるだけで楽しくなる
気分や状況に合わせてコーヒーサーバーを使い分けるだけでも、いつものコーヒーのドリップが新鮮なものに感じられます。コーヒーを淹れるということにおいて、コーヒー豆や淹れ方も大事ですが、使用する道具を気に入っているかどうか、その場の雰囲気はどうか、というものも大切です。
日常的にコーヒーを淹れている人も、新たにコーヒーを淹れる人も、常にコーヒーを淹れるという事を楽しむためにも、自分が気に入る、自分にぴったりのコーヒーサーバーを探してみることをオススメします。