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大切なのは湿度と温度!コーヒー豆のベストな保存方法

保存棚と保存瓶

コーヒー豆について

私達が多くの場合目にするコーヒー豆は、焙煎前のコーヒー豆か茶色く香ばしく焙煎されたコーヒー豆のどちらかです。しかし、コーヒー豆にはそれ以前の姿もあります。

コーヒー豆は種子

コーヒー豆は、コーヒーノキという植物の果実に内包された種子です。なので、もともと豆の姿ではありません。コーヒーノキの果実が赤く熟したら、皮と果肉を除去して中身の種子、つまりコーヒー豆を収穫して袋詰されます。収穫の際、コーヒーノキの果実を収穫して実のまま天日干ししたり、皮と果肉を除去し、コーヒー豆を水で洗浄してから天日干しするなど、工程が地域や農園によって異なります。この工程をコーヒー豆の精製と呼び、果実のついたまま天日干しすることをナチュラル、実からコーヒー豆を取り出して水で洗浄する方法をウォッシュドと呼びます。これらの精製方法の違いによって淹れるコーヒーの味わいも違うものになります。

精製されて各国へ

世界各地のコーヒー農園で収穫、精製されたあと、コーヒー豆は消費者の待つ国々へ出荷されます。日本でも毎年大量のコーヒー豆が輸入されており、世界の国々でもTOP20に入る程度の消費量となっています。また、近年では消費量は年々増加傾向にあるようです。

コーヒー豆は生鮮食品

コーヒー豆はコーヒーノキの種子、つまり植物なので”ナマモノ”です。そしてナマモノは時間が経つと基本的に劣化していきます。

焙煎後は早めに消費する

焙煎されたコーヒー豆は、生豆の状態よりも格段に早く劣化してしまします。また、湿気を良く吸収するようになるため、湿気と同時にそこに含まれるニオイをよく吸収してしまうようになります。そのため、焙煎されたコーヒー豆はなるべく早く消費する必要があります。

消費の目安は保存状態や焙煎方法に左右されますが、コーヒー豆の状態で保存する場合であれば、美味しく飲める期間が焙煎日から10日〜14日程度、普通に飲めて1ヶ月が限度です。それ以上となると、鮮度のない、湿気を含んだお湯の抜けの悪いコーヒー豆となってしまい、本来もっている香りも味も感じることはできません。コーヒー豆の味わいを最大限に楽しむためにも、焙煎後はなるべく早く消費することを心がけましょう。

生のままなら長期保存できる

焙煎すると長期保存は難しくなりますが、生豆の状態であればコーヒー豆は数年単位で保存することが出来ます。コーヒー豆は保存年数によって以下のように呼称されます。

  • ニュークロップ :収穫されて半年程度のもの
  • カレントクロップ:収穫されて1年未満のもの
  • パーストクロップ:収穫から1年経過したもの
  • オールドクロップ:収穫から2年以上経過したもの

収穫から日が浅いほどコーヒー生豆は緑色をしており、香りも強く残ります。逆に、収穫から日が経つほどコーヒー生豆から水分が抜け、色は黄色に近くなっていきます。ニュークロップで淹れたコーヒーのほうがコーヒー豆のもつ個性をより強く感じられ、オールドクロップでは長期の保存により個性の尖った部分が感じにくくなってしまいますが、飲みやすいコーヒーとなります。

コーヒー豆は焙煎後だとすぐに消費したほうが美味しく飲むことができますが、焙煎前であれば長期保存することで経年での変化を楽しむ、といった事も可能なのです。

コーヒー豆の保存方法

焙煎後のコーヒー豆はおよそ1ヶ月が消費の目安ですが、これはしっかり保存出来ている場合で、保存の仕方によっては更に短くなる場合があります。

基本的な保存条件

焙煎したコーヒー豆を長持ちさせるための、保存する際の優良な条件として以下の事が挙げられます。

  • コーヒー豆の状態で保存する
  • ニオイの少ない場所に保存する
  • 湿度の低い場所に保存する
  • 密閉容器に入れる
  • 遮光する

まず、コーヒー豆は焙煎すると湿気をよく吸収するようになります。これは、コーヒー豆を挽いた状態である場合、つまりコーヒー豆の表面積が増えるほどによく湿気を吸うようになります。そのため、コーヒーミルを持っている場合はコーヒー豆を挽かずに豆のままで保存するのが良いでしょう。また、密閉容器に入れてなるべく湿気を遮断し、かつ湿度の低い場所に保存することも大切です。湿気を吸ったコーヒー豆は、本来の香りを楽しむどころか、とても不味いコーヒーになるため特に注意が必要です。

また、可能であれば紫外線による劣化を防ぐため、遮光も出来ると良いでしょう。ただ、これについては湿気やニオイほど注意する必要はありません。

これらの条件に加えて、コーヒー豆を保存する温度にも注意する必要があります。保存温度については、主に常温保存、冷蔵保存、冷凍保存に分類され、コーヒー豆を保存する期間によって向き不向きがあります。

常温保存する

常温保存は文字通り常温、室温で密閉容器に入れて保存します。ただし、真夏に直射日光の当たる場所におくようなことはせず、涼しめの、なるべく冷暗所におくようにします。常温保存は、ある程度すぐにコーヒー豆を消費する場合に向いていて、季節にもよりますが、2週間程度で飲みきれる量であれば常温保存で問題ないでしょう。

冷蔵保存する

冷蔵保存は、冷蔵庫でコーヒー豆を保存します。2週間よりも長期の保存を行う場合や、2週間以内で消費できる量でも室温が高く常温保存ができない場合には、冷蔵保存でコーヒー豆を保存しましょう。

この時気をつけたいのが、なるべくニオイの少ない場所に置くということです。冷蔵庫は食品の保存場所ですので、自然とニオイが充満します。コーヒー豆は湿気と一緒にニオイも吸ってしまうため、冷蔵庫内が食べ物のニオイで充満していると、コーヒーがそれを吸って美味しくなくなってしまいます。そのため、冷蔵庫内のコーヒー豆の置き場所には注意しましょう。また、冷蔵保存の場合でもコーヒー豆は密閉容器に入れましょう。

冷凍保存する

もし1ヶ月以上の期間コーヒー豆を保存する必要がある場合は、冷凍庫へ入れて保存します。冷凍庫で保存する場合に特に注意が必要なのは、冷凍庫からコーヒー豆が取り出された際の温度変化による劣化です。冷凍庫と室温は温度差が大きいため、冷凍庫から取り出されたコーヒー豆は急に温度が上昇して劣化が進んだり、結露がおこります。そのため、冷凍庫からコーヒー豆を取り出したら解凍はせず、固まったままの状態でコーヒー豆を挽いて、温度変化の少ないうちにコーヒーを淹れてしまいましょう。

また、冷蔵保存と冷凍保存に言えることですが、扉の開け閉めや頻繁な取り出しによって温度変化が多くなるのも良くありませんので、ある程度小分けにして保存するのが良いでしょう。

一番良い保存方法は?

常温、冷蔵、冷凍の3つの保存方法が出ましたが、期間によって保存方法を分けるのも面倒だし、結局どれが一番良い保存方法なの?と思うちょっとズボラな人もいるかもしれません。3つのうち選択肢を削るとすれば、常温保存はやめて冷蔵保存か冷凍保存のどちらかにしておけば間違いは無いでしょう。冷蔵保存と冷凍保存の優劣については、長期間保存する場合は冷凍保存、と考えるとすべて冷凍保存にしておけば良いと思うかもしれませんが、冷凍保存の場合はコーヒー豆を取り出した際の温度変化による劣化や、長期間冷凍することで起こる冷凍焼けと呼ばれる現象で水分が抜けてしまい、味が変化してしまう恐れがあるため、ベストな保存方法とは言い切れません。

そのため、冷蔵保存と冷凍保存については保存期間で使い分けるのが無難です。可能であれば、一度、冷蔵保存と冷凍保存をそれぞれ試して、自分にとって美味しい状態で保存できる方法を見分けると良いでしょう。

ベストな状態で保存するために

良い状態でコーヒー豆を保存するためには、保存容器もちゃんとしたものを使用するのが大切です。

しっかりした保存容器を選ぶ

より密閉性を高めるためにも、保存容器にはジャムの瓶のようなものよりもゴムパッキンがついたものが良いでしょう。また密閉容器ではなく密封容器として販売されているものであればなお良いです。

セラーメイト 保存容器 チャーミークリアー L2 日本製 221138

OXO 保存容器 プラスチック 1.0L ポップコンテナ2 新タイプ スモールスクエア ショート 11234000

UZIPAL キャニスター 保存容器 密封容器 ステンレス製 密封びん 透明カバー(0.75L)

セラーメイト 密封びん 1L 220018

ゴムパッキンによって密閉性があり、かつ空気を抜く事が出来る保存容器もあります。

密閉 ガラス キャニスター 保存容器 エア・リデューサー S 900cc

アピデ 真空保存容器 ブラック 0.8L:11.5×11.5×17.5cm

保存容器にもいろいろありますが、大切なのは、なるべく空気に触れないことです。その条件を満たせれば、それほど神経質にならずに保存容器は選んでしまっても良いかと思います。

温度変化に気をつける

もう一つ大事なのは、なるべく温度変化に晒さない事です。常温保存であれば、コーヒー豆を保存容器から取り出す場合に温度変化は起こりませんが、冷蔵保存や冷凍保存の場合はコーヒー豆を取り出した際に温度の上昇やコーヒーの周りに結露が発生し、コーヒー豆が余分に劣化してしまう可能性があります。また、通常の冷蔵庫の開け閉めを行う場合でも、庫内では多少の温度の変化が起こります。

しかし、冷蔵庫や冷凍庫に保存する場合に温度変化を避けることは難しいでしょう。最低限できる対策としては、コーヒー豆を小分けにして都度必要な分だけを取り出せるようにしておくことです。例えば500gのコーヒー豆があり、コーヒーを飲むときに毎回40gずつだけ欲しい場合、40gずつ小分けにしておいてコーヒーを飲むときに小分けにしたものの1つだけを取り出す、といった形です。こうすることで、余分にコーヒー豆を温度変化に晒すことを少なく出来ます。

小分けにする場合は、密閉の保存瓶だとかさばるので、チャック付きの保存バッグを使用するのが良いでしょう。

【大容量】ジップロック お手軽バッグ S 100枚入

フリーザーバッグ 保存袋 チャック付き 60枚入り 2重ジッパー 冷凍用 ZB-5003

コーヒー豆を良い状態で味わうために

冒頭で述べたように、コーヒー豆は生鮮食品です。保存の方法も大切ですが、美味しく飲むならやっぱり鮮度が一番大切です。

コーヒー豆はなるべく早く消費する

焙煎したコーヒー豆は、なるべく早く飲みましょう。ただし、焙煎直後のコーヒーよりも2、3日置いたほうが味が落ち着いて美味しいという意見もあります。好みは人それぞれですが、焙煎したらすぐに飲まなければいけない、ということは無く、気温にもよりますが2週間程度なら美味しく飲めるので、その程度で消費できる量を都度購入、もしくはコーヒー生豆を購入して自分で焙煎するのがオススメです。

焙煎日が分かるコーヒー豆を選ぶ

また、美味しく飲める期間で消費するためにも、なるべくコーヒー豆の焙煎日が分かる方法で購入するようにしましょう。オススメなのは、注文後にコーヒー豆を焙煎してくれるコーヒー豆の専門店で購入することです。すでに焙煎された状態で販売されているコーヒーは、平気で数ヶ月程度経っているものもあります。個人経営のコーヒー豆の専門店であれば焙煎済みであっても長期間保管はしないので大丈夫な場合もありますが、チェーン店のコーヒーショップ、輸入食品店のものは注意が必要です。

コーヒーの鮮度は、お湯を注いだときによく膨らむかで分かります。焙煎済みのコーヒー豆で、あまり膨らまないものは気をつけましょう。ただし、浅煎りの場合は焙煎したてでもあまり膨らまないので注意が必要です。

コーヒー豆の鮮度を見極めて、ベストな保存方法で保存し、毎日美味しい状態のコーヒーを楽しみましょう。