コーヒードリッパー

コーヒーのハンドドリップに必要な4つの基本道具と選び方のポイント

ハンドドリップの基本道具について知ろう

コーヒーとコーヒーミルとドリップスケール

コーヒーのハンドドリップにはコーヒーポット、ドリッパー、フィルター、コーヒーサーバーの4つが欠かせません。まずは、それぞれの道具の役割について見ていきましょう。

コーヒーポット

コーヒーポットは、お湯を注ぐための道具です。コーヒーを淹れたことがない人からすると、お湯を注ぐくらい、わざわざコーヒーポットを用意しなくても、通常の湯沸かしに使用する”やかん”で良いのでは?と思うかもしれません。

しかし実際のところ、やかんでは繊細なお湯のコントロールができないため、コーヒーのドリップには向いていません。コーヒーのドリップにおいてお湯のコントロールは非常に重要です。美味しいコーヒーを淹れるためには、常に同じ湯量をコーヒー粉に均等に注ぎ続ける、といったように、自在にお湯を注ぐ技術が必要であるため、お湯を注ぐための道具はなるべくお湯のコントロールがしやすいものを使用する必要があります。

通常のやかんでは、注ぎ口の太さや形状がコーヒーのドリップに最適化されていないものが多く、お湯のコントロールが非常に難しいため、コーヒーのドリップには不向きです。そのため、コーヒーのドリップ専用であるコーヒーポットを別途用意する必要があります。

ドリッパー

ドリッパーは、コーヒー粉を入れたペーパーフィルターをセットするための土台(容器)です。ドリッパーにペーパーフィルターをセットし、そのペーパーフィルターにコーヒー粉を入れ、そこにお湯を注ぐことでコーヒー粉の中を潜ったお湯がコーヒーとして抽出されます。

ドリッパーにはお湯が抜けていくための穴が空いていますが、穴の数や大きさはドリッパーによって様々です。大体が1つ穴〜3つ穴で、1つ穴のものは穴のサイズが大きく、3つ穴のものは穴のサイズが小さい場合がほとんどです。また、ドリッパーの内側には溝があり、ペーパーフィルターとの隙間を作り、空気の抜け道を作る役割を果たします。

穴の数や大きさ、溝の形状はコーヒーの抽出速度などに影響するため、使用するドリッパーによってコーヒーの味は少し変わります。自分の好みのコーヒーと出会うためには、色々なドリッパーでコーヒーを淹れてみることが重要です。

フィルター

フィルターは、コーヒー粉でろ過されたお湯(コーヒー)とコーヒー粉を分けるために使用します。フィルターの中にコーヒー粉を入れてお湯を注ぐと、注がれたお湯はコーヒー粉の中を通り、フィルターを介してコーヒーだけが外に流れ落ちていくようになります。

フィルターは主にペーパーフィルター、金属フィルター、ネルフィルターの3つに分類されます。ペーパーフィルターはドリッパーとセットで使用しますが、金属フィルターはそれ自体がドリッパーの役割も持つため、単体で使用します。ネルフィルターは、専用のハンドルを付けて、手で持って使用するタイプのものが主流ですが、ドリッパーにセットして使用するタイプのものもあります。

ペーパーフィルターの形状は、前述したドリッパーの形によって、台形フィルターと円錐形フィルターの2種類に分けられます。それぞれフィルターとドリッパーの形が適合したものでないと使用することが出来ないので注意が必要です。また、色はブラウンとホワイトの2色があります。

コーヒーサーバー

コーヒーサーバーは、ドリッパーから流れ落ちてくるコーヒーを受け止めるための容器で、ドリッパーの下において使用します。コーヒーサーバーとして売られているものは、ガラスの容器にメモリが刻まれていて、プラスチックや木のハンドルが取り付けられているのが一般的です。

コーヒーサーバーとして売られているものではなくても、コーヒーを受けられれば何でも良いので、既成品のものではなく、家にある耐熱容器で代用することも可能です。また、1杯分しかコーヒーを淹れないのであれば、コーヒーサーバーを使用せず、マグカップなどに直接コーヒーをドリップしても良いでしょう。

押さえておきたい基本道具の選び方

chemexドリッパー

ハンドドリップの4つの基本道具には、それぞれ見るべきポイントがあります。ポイントをちゃんと押さえておくと、より快適にコーヒーを淹れることができるでしょう。

コーヒーポットは適切なサイズを、不慣れなら注ぎ口が細いものを

はじめてハンドドリップでコーヒーを淹れる場合、常に一定の細さ(湯量)に保って、コーヒーポットでお湯を注ぎ続けることは難しいと思います。そういう場合は、もともと注ぎ口が細いコーヒーポットを用意しておくのがオススメです。注ぎ口が太いものはコーヒーポットの傾き加減で湯量を調整しなければいけませんが、注ぎ口が細ければ、傾けすぎても注ぎ口の太さ以上の湯量が出る心配がありません。

ただ、注ぎ口が太いもののほうが、より幅広く湯量をコントロールすることができます。はじめは細い注ぎ口のもので十分ですが、コーヒーのハンドドリップに慣れてきたら、太い注ぎ口のコーヒーポットを使用したドリップに挑戦してみるのも良いでしょう。

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また、ドリップする量に合わせてコーヒーポットのサイズを選択することも大切です。例えばコーヒーを200ml抽出したいとき、容量1Lのコーヒーポットを使用するとします。このとき、抽出したいコーヒーの量にあわせ、200mlだけコーヒーポットにお湯を入れた場合、コーヒーポットの大きさに対してお湯が少なすぎるため、ドリップ時に安定してお湯を注ぎにくくなります。安定させるためには、コーヒーポットの6〜7割以上をお湯で満たしておくのがベストですが、200mlのコーヒーを淹れるために700mlのお湯を沸かすことは無駄が多すぎます。

そのため、少ない量のコーヒーをドリップしたい場合は、それに合ったサイズのコーヒーポットがあると無駄が少なくなります。200mlのコーヒーを淹れたい場合なら、350ml程度のコーヒーポットで十分です。

金属フィルターを使用してコスト削減

ドリッパーを用いてコーヒーを淹れる場合ペーパーフィルターが必要ですが、ステンレスのメッシュで出来た金属フィルターを使用すると、フィルター自体がドリッパーの役割を果たすため、ドリッパーが必要なくなります。また、フィルターが金属のメッシュで出来ているため、ペーパーフィルターと違い、洗って何度でも使用することが出来るため使い捨てる必要がありません。

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金属フィルターでドリップするコーヒーは、ペーパーフィルターと違って紙にコーヒーが吸収されないため、コーヒーオイルと呼ばれるコーヒーの油分を抽出することが出来ます。コーヒーオイルは舌触りをまろやかにし、香りをより際立たせてくれるもので、ペーパーフィルターでドリップしたコーヒーとはまた違った味わいのコーヒーを楽しむことが出来ます。

良いことずくめのように見える金属フィルターですが、ドリップしたコーヒーにコーヒー粉の微粉が含まれるというデメリットもあります。微粉はカップの底に沈殿して溜まるので、最後の一口を飲むときに口に入ってくる場合があります。害があるわけではありませんが、ザラついていて口当たりがあまり良くないので注意しましょう。

ペーパーフィルターは白いものを使う

ペーパーフィルターは同じ形のものでも、ブラウンとホワイトの2色がある場合があります。色の違いはペーパーフィルターを酸素漂白しているかどうかの違いで、ブラウンのものは酸素漂白していないため原料であるパルプ(木材などの植物繊維)本来の色であるブラウンとなっており、ホワイトのものは酸素漂白しているため色が抜けて白色になっています。

漂白と聞くとなんとなく体に悪そうなイメージがあり、使用するならブラウンのほうが良いのでは?と思うかもしれませんが、実際のは逆で、ブラウンのペーパーフィルターはお湯を注ぐとパルプ独特の色や香りが出てきてコーヒーの味に影響が出てしまうため、それらが取り除かれたホワイトのペーパーフィルターを使用するのがオススメです。酸素漂白であるため、人体への影響も心配ありません。

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なるべく余計なものを含んでいない、コーヒー本来の味わいを楽しみたいのであれば、ペーパーフィルターはホワイトのものを使用しましょう。

コーヒーサーバーはガラス製のものを使う

ドリップしたコーヒーを受け止めるコーヒーサーバーは、コーヒーを受けられれば何を使用しても構いませんが、抽出された量をひと目で確認できるように、ガラス製のものを使用するのがオススメです。また、サーバー側面に刻まれた容量を確認するためのメモリが細かいものだとなお良いでしょう。

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ステンレス製など中身の見えないコーヒーサーバーの場合、どれくらいの量のコーヒーが溜まっているのかか分かりづらく、複数のカップに注ぐときにも残量が見えにくく均等に分けづらいので、そういった取り回しを考慮するとガラス製のコーヒーサーバーを使用するのがベストです。

美味しいコーヒーは適切な道具選びから

木のテーブルの上のコーヒー

コーヒーのハンドドリップをしたことがない人にとって、初めての道具の選び方はなかなか難しいことだと思います。ぜひ今回紹介したポイントを抑えて、快適なドリップ体験をしていただければと思います。

美味しいコーヒーを淹れたいなら、道具にもこだわる

美味しくコーヒーを淹れるためには、コーヒー豆の品質やお湯を注ぐテクニックはもちろん大切ですが、使用する道具も同じくらい大切です。ドリッパーやフィルターの特徴を知ることで、コーヒー豆の味わいを最大限引き出すためにぴったりの抽出方法を状況にあわせて選択できるようになり、形の異なるドリップポットを複数用意しておくことで、抽出方法にあわせて細かなお湯の注ぎ分けがしやすくなります。

手に馴染み、使いやすく、コーヒーをより美味しくしてくれる道具を揃えることで、より一層美味しいコーヒーを淹れることができるようになるでしょう。

初めてのハンドドリップに挑戦する方へ

コーヒーの道具を一切持っていなくて、これから準備しようとしているなら、この記事に記載したポイントにあわせて道具を準備すると失敗が少ないでしょう。ドリップの経験を重ねるに連れ、自分のスタイルにあった道具が欲しくなるとは思いますが、初めてならこれで十分です。

また、ハンドドリップでのコーヒーの入れ方や楽しみ方についてまとめた記事もあるので、ぜひこちらも参考にしてみてください。