コーヒードリッパー

ペーパーフィルターを知って、コーヒーを上手にドリップしよう。

【2019-03-11】

植物とペーパーフィルター

ハンドドリップとペーパーフィルター

お湯を注がれているドリッパー

マシンを使わず、コーヒーポットとドリッパーやフレンチプレスを使用して人の手でコーヒーを淹れるハンドドリップ。ドリッパーを用いたハンドドリップで使用するコーヒーフィルターの種類はいくつかありますが、その中でも紙で出来たフィルター、ペーパーフィルターを使用したハンドドリップ(プアオーバー)がポピュラーです。

ハンドドリップで使用するコーヒーフィルターの定番

プアオーバーでコーヒーを淹れる場合、コーヒーフィルターを準備する必要があります。コーヒーフィルターの材質には、ネルや金属、コットンやセラミックなどいくつか種類がありますが、中でも最も使用されているのがペーパーフィルターでしょう。

ペーパーフィルターは雑貨屋やコーヒーの専門店でなくとも、100均やスーパーなどでも販売しているため入手しやすく、かつ紙であるため安価です。そのため、自宅ではプアオーバーでコーヒーを淹れることが最も多いかと思います。

ペーパーフィルターを使用するメリット

ペーパーフィルターを使用するメリットの1つは、前述した通り手に入りやすさと安価な価格、そして後片付けが簡単であることです。コーヒーを淹れた後、当たり前ですがフィルターの中にはコーヒーのカスが残ります。ネルフィルターや金属フィルターなど、洗って何度も使うタイプのコーヒーフィルターを使用する場合、このコーヒーのカスをフィルターから取り出して処理する必要があります。ですが、ペーパーフィルターの場合は使い捨てであるため、フィルターごとコーヒーのカスをゴミ箱に入れてしまえばそれだけで面倒な後片付けが済むのです。

コーヒーを淹れた後に限らず、食事などの後の洗い物は結構面倒です。その点、地味ですが少しでも手間を減らすことが出来るのがペーパーフィルターの良いところです。

また、見方によってはコーヒーオイルが抽出されにくい点もメリットとなる場合があります。コーヒーオイルはコーヒー豆が持つ油のことで、これが抽出される事でコーヒー豆本来の豊かな香りとまろやかな口当たりのコーヒーを淹れることが出来ますが、スッキリしたコーヒーが飲みたい場合など、このコーヒーオイルが不要な場合があります。また、コーヒーオイルは文字通り油であるため、コレステロール値の上昇が起こるなど、少なからず身体への影響もあります。

ペーパーフィルターを使用すると、コーヒーオイルがフィルターによって大幅にカットされるため、抽出したコーヒーにオイルが混じりにくくなります。そのため、コーヒーオイルの摂取を控えたいときにはペーパーフィルターを使用する、という選び方をするのもアリでしょう

ペーパーフィルターの種類について

ペーパーフィルターにはいくつか種類があります。まず、形は主に台形と円錐形の2種類があり、それぞれ対応するドリッパーの形に合ったものを使用します。それぞれのペーパーフィルターを使用するドリッパーのメーカーの一例を挙げると、

  • 台形 :メリタ・カリタ・ボンマック
  • 円錐形:ハリオ・コーノ・KINTO(キントー)

上記の様に分類されます。メーカーを覚えなくともドリッパーの外観で使用するペーパーフィルターは自ずと分かりますが、もう少し詳細な見分け方として、台形のペーパーフィルターを使用するドリッパーは小さな穴が1つ〜3つほど開いていて、円錐形のペーパーフィルターを使用するドリッパーは大きな1つ穴が空いているもの、と覚えておくと良いでしょう。

また、ペーパーフィルターは色にも違いがあり、2種類の色が存在します。1つは茶色のペーパーフィルターで、ブラウン・みさらし・無漂白とも呼ばれ、もう1つは白色で、ホワイト・漂白とも呼ばれます。これらの色は、漂白されているか・いないかで違っています。

無漂白・漂白と聞くと、ホワイトのペーパーフィルターはなんだか体に悪そうだしブラウンのペーパーフィルターを使用したほうが良いのでは?と考える人も多いと思いますが、漂白と言っても塩素漂白ではなく酸素漂白であるため、人体には無害です。むしろ、漂白をしていないブラウンのほうがコーヒーの抽出時にペーパーフィルターの色が出てきてしまったり、ペーパーフィルターの原料である木材パルプのニオイが出てきてしまうなどの問題があるため、ホワイトのペーパーフィルターを使用することをオススメします。

ペーパーフィルターの基本の使い方

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ペーパーフィルターについて軽く触れたところで、その使い方についても見ていきましょう。使い方と言っても何も難しいことはありません。

ペーパーフィルターを折る

ペーパーフィルターをパッケージから1枚取り出したら、まずシールの部分を折ります。シール部分とは、台形のペーパーフィルターでは片側の側面と下部の”耳”の部分です。なお、円錐形のペーパーフィルターの場合はシール部分は1つです。

シールは、台形のペーパーフィルターの場合は2箇所のシールをそれぞれ逆向きに折り込みます。ペーパーフィルターを正面から見て下部のシールを手前側に折ったら、側面のシールは奥側に折り込むといった感じです。円錐形のペーパーフィルターの場合は、手前でも奥でも好きな方向に折り込みます。

シールを折り込むのは、ペーパーフィルターがドリッパーと密着出来るようにするためです。シールを折らないと、ペーパーフィルターがドリッパーに上手く密着しません。また、台形のペーパーフィルターの場合に2つのシールを逆の方向に折り込むのは、別々の方向に折り込むことで、折り込んだ部分が元に戻ろうとする反発力が片側だけからかからないようにすることで、ドリッパーに密着して収めるためです。

ドリッパーにセットする

ペーパーフィルターのシールを折り込んだら、ドリッパーにセットします。このあと、挽いたコーヒー豆を続いて投入する場合と、一度空のペーパーフィルターに軽くお湯を注いでから挽いたコーヒー豆を入れる方法があります。ここでお湯を注ぐことで、ペーパーフィルターの僅かなニオイを取る、ドリッパーと密着させておく、といった狙いがあります。お湯を注ぐかどうかは自由ですが、個人的には注いでおいて、ペーパーフィルター全体を湿らせておくほうが良いと思います。

挽いたコーヒー豆を投入する

ペーパーフィルターをドリッパーにセットしたら、挽いたコーヒー豆をいれます。ペーパーフィルターにお湯を注いでおいた場合、挽いたコーヒー豆をバサッと適当に投入してしまうと、フィルターの縁などにへばりついてしまう事があるため、挽いたコーヒー豆を入れるときはなるべく中央に、静かに挽いたコーヒー豆を入れましょう。コーヒー豆を入れたら、ドリッパーを左右に軽く何度か揺すって盛り上がっている面を平らにします。平らにすることで、お湯を注ぐ際にムラが生じにくくなります。

ペーパーフィルターを使う場合の注意点

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ペーパーフィルターの使い方に難しいことはありませんが、気をつけておきたい点がいくつかあります。

ドリッパーとサイズをあわせるようにする

ペーパーフィルターはドリッパーの大きさに合わせていくつかサイズがあり、だいたい3サイズ程度に分かれています。ドリッパーよりも小さめのサイズのペーパーフィルターを使うと、ドリッパー全体がペーパーフィルターでカバーできないため、挽いたコーヒー豆を投入する場合にペーパーフィルターとドリッパーの間に粉がこぼれてしまう可能性があります。丁寧に入れれば大丈夫、と思う人もいるかと思いますが、ドリッパーのサイズが大きいと、意外と挽いたコーヒー豆をペーパーフィルターの中心に落とすのが難しいのです。

そのため、基本的にはドリッパーのサイズに合ったペーパーフィルターを使用するようにしましょう。また、逆にドリッパーよりも大きいサイズのペーパーフィルターを使用する場合はこぼす心配はありませんが、ドリッパーのサイズ以上に挽いたコーヒー豆を投入してしまわないように注意しましょう。

”ヨレヨレ”にならないようにセットする

ペーパーフィルターをドリッパーにセットしてお湯をかける場合、ドリッパーにちゃんと密着させた状態でお湯を注がないとドリッパーとキチッと密着せずにヨレヨレになった状態になる場合があります。ドリッパーに刻まれた溝はコーヒーの発生させるガスの抜けやお湯の抜けをコントロールするためのものですが、これはペーパーフィルターがドリッパーに密着して初めて効果があるものであるため、ヨレヨレになってしまうとドリッパーの能力を最大限に活かすことが出来ません。

そのため、ペーパーフィルターは確実にドリッパーに密着するようにしてからお湯を注ぐようにしましょう。

各コーヒー機器メーカーが販売するペーパーフィルター

ペーパーフィルターについて分かったところで、実際に各コーヒー機器メーカーが実際に販売しているペーパーフィルターを見ていきましょう。

ペーパーフィルターの元祖、メリタのペーパーフィルター

ドリッパーにお湯を注いでいる人

メリタはドイツにあるコーヒー機器のメーカーで、ペーパードリップを発明したメリタ・ベンツという人が立ち上げました。いわばペーパードリップの本流と言って良いでしょう。

メリタの販売するペーパーフィルターは、自社で製造する一つ穴式のドリッパーに合わせた台形のペーパーフィルターです。

Melitta フィルターペーパー エコブラウン 【2~4杯用 100枚入り 】 PA1 ×2G NB FSCミックス 3個セット

メリタ フィルターペーパー アロマジック ナチュラルホワイト【2~4杯用 40枚入】PA1X2

メリタ フィルターペーパー アロマジック バンブー【2~4杯用 100枚入】PA1X2GBB

メリタジャパン コーヒーフィルターペーパー グルメ 1×4 PG-148 80枚入

メリタのペーパーフィルターはサイズ、色の違いの他に、”アロマホールと”呼ばれるメリタ独自のフィルター構造を用いた”アロマジック”や、それを更に進化させた”オリジナル”、材質の一部に竹を使用した”バンブー”など、異なる特徴を持ったペーパーフィルターを取り揃えています。

赤いチェックが目印、カリタのペーパーフィルター

挽いたコーヒー豆が入ったウェーブシリーズ

カリタは日本の大手コーヒー機器メーカーです。ドリッパーやペーパーフィルター、コーヒーミルからコーヒーポットまで幅広く製造・販売を行っています。

ちなみに、一つ前に名前の挙がったメリタと名前は似ていますが、関連企業ではありません。

カリタ コーヒーフィルター 101濾紙 (1~2人用) 40枚入り ホワイト #11037

カリタ 珈琲屋さんのコーヒーフィルター 1~2人用 101

カリタが販売している三つ穴のドリッパー、”ロトシリーズ”用の台形ペーパーフィルターは、基本的に1種類でサイズと色違いのみの展開ですが、”珈琲屋さんのコーヒーフィルター”というペーパーフィルターの繊維の絡みを従来よりも多くした製品も販売されています。珈琲屋さんのコーヒーフィルターは少々手に入りにくく、一部のコーヒー専門店などでしか取り扱っていないようです。

カリタ ウェーブフィルター KWF-185 (2~4人用) ホワイト 50枚入り×3個セット

Kalita (カリタ) コーヒーフィルター ホワイト 【1~2人用】 ウェーブシリーズ ウェーブフィルター KWF-155#22213

また、カリタではロトシリーズの他に”ウェーブシリーズ”と呼ばれる、独自の形状をしたドリッパーを販売しています。ウェーブシリーズはロトシリーズと同様に三つ穴のドリッパーですが、底面の面積が広く取られていて、ペーパーフィルターもそれにあわせた独自の形状のものを使用します。

ウェーブシリーズの名の通り、ペーパーフィルターは台形でも円錐形でもない、波打った形状のペーパーフィルターとなっていて、その独特の形状がスムーズなドリップを実現します。

世界中で支持される、ハリオのペーパーフィルター

ハリオV60ドリッパー

ハリオは日本の耐熱ガラスのメーカーです。ガラス加工の技術を活かしてサイフォン等のコーヒー機器の製造を始め、コーヒー業界に進出しました。現在ではドリッパーなど含む多岐にわたるコーヒー機器を販売しており、それらの製品は世界中で支持されています。

HARIO (ハリオ) V60 用 ペーパーフィルター 01W 1~2杯用 100枚入り ホワイト VCF-01-100W

HARIO (ハリオ) ラブドリ コーヒーフィルター 1~4人用 20枚入 ホワイト VCFL-02-20W

ハリオの販売するペーパーフィルターは、自社の”V60ドリッパー”の形状にあわせた円錐形のペーパーフィルターです。こちらも基本はサイズと色の違いのみの製品展開ですが、”ラブドリ”という鳥のつがいの形をした、可愛らしい形のペーパーフィルターも販売されています。

プロに愛用者の多い、コーノのペーパーフィルター

コーヒードリップ

コーノは日本のコーヒー機器メーカーです。正確には”珈琲サイフォン株式会社”という社名ですが、代表一族の名字でありブランド名であるコーノという名称で一般的に知られています。

社名の通りサイフォンを製造していたメーカーで、後にコーヒー豆の焙煎やドリッパーの製造を行うようになり、現在も根強い支持を持つ”名門フィルター”を開発し、販売しています。

コーノ式ペーパー 1~2人用 100枚入り

コーノ ペーパー 4人用 100枚入 ホワイト MD-45

コーノの販売する唯一のドリッパーである名門フィルターは2サイズのみの展開で、名門フィルター用の円錐形のペーパーフィルターもそれに合わせたブラウン・ホワイトのものがそれぞれ2サイズ用意されています。

正しくペーパーフィルターを使って美味しくコーヒーを淹れよう

たかがペーパーフィルターと思うかも知れませんが、正しく扱うことでコーヒー豆のもつ味わいを引き出したコーヒーを淹れることができます。逆に、雑に扱うとコーヒーの味を損なう場合があります。

コーヒーを美味しくするのは難しい、けど不味くすることはできる

ペーパーフィルターを正しく使用するのは大切なことですが、それによってコーヒーの味が特別に美味しくなるということはありません。しかし、適切に扱わない事でコーヒーの味が不味くなることはあります。つまり、ペーパーフィルターの扱いによるコーヒーの味への影響は、足し算ではなく引き算ということです。適切に扱えば0、それ以外はマイナスです。

いかにコーヒー本来の味わいを損なわずにコーヒーを淹れられるかは、ペーパーフィルターの取り扱いによる部分もあるということを覚えておきましょう。

美味しいコーヒーを淹れるには、まず正しい道具の扱いから

せっかく美味しいコーヒー豆を手に入れたなら、できる限り最大限、美味しくコーヒーを淹れたいものです。コーヒー豆のポテンシャルを落とさないためにも、まずは適切なペーパーフィルターの使用方法を意識する事が大切です。

勿論、ペーパーフィルター以外のコーヒーに関する道具の取り扱いについても同様です。適切に道具を使用して、最高に美味しいコーヒーを淹れて飲みましょう!