初心者にもオススメ!ペーパードリップのススメ
【2018-03-03】
ペーパードリップについて
ペーパーフィルターを使ったプアオーバー
コーヒーのペーパードリップとは、ペーパーフィルターを使用したプアオーバー(ハンドドリップ)の事を指します。ペーパードリップはプアオーバーの中でも最もポピュラーな方法で、ペーパードリップで使用するペーパーフィルターなどは、スーパーなどでも見かける事が多いかと思います。
ペーパーフィルターは製品によって多少形は異なりますが、ほとんどが扇形か円錐型をした白か茶色の端が閉じられた薄い袋状の紙で、開いてドリッパーにセットして使用します。ペーパーフィルターに挽いたコーヒー豆を淹れてお湯を注ぐことで、ペーパーフィルターで濾されたコーヒーの液体のみを抽出することが出来ます。
プアオーバーの入り口
プアオーバーでコーヒーを淹れたい!となったとき、もっとも始めやすいのがペーパードリップです。というのも、ペーパードリップ用のペーパーフィルターとドリッパーは、モノや材質にもよりますが、拘らなければ安く購入することが出来ますし、スーパーなど取り扱うお店も多いためです。そのため、コーヒーのドリップに挑戦したい、という場合は、まずはペーパードリップから始める事をオススメします。
ペーパードリップの特徴
スッキリとした味わい
ペーパードリップで淹れたコーヒーは、ペーパーフィルターで濾される事でコーヒーオイルが混じらないコーヒーが抽出されるため、スッキリとしたキレのある飲み口のコーヒーに仕上がります。朝の目覚まし用や気分を切り替えたいときなど、シャッキっとしたいときに向いているでしょう。
後片付けがラク
ペーパーフィルターを使用するため、コーヒーを淹れ終わった後はペーパーフィルターの端を摘んでゴミ箱に捨てれば、余計なコーヒーカスが散らばること無く後片付けをすることが出来ます。金属フィルターを使用したプアオーバーやフレンチプレスでコーヒーを淹れる場合、器具に直接挽いたコーヒー豆を投入するので、後片付けの際にはそれをキレイに掻き出してあげなければいけません。しかし、ペーパードリップでコーヒーを淹れた後はペーパーフィルターを捨てるだけで良いので、そのように後片付けが面倒になることはありません。
余分なものまで濾されてしまう
コーヒーオイルが混じらないためスッキリとした味わいになる、と書きましたが、コーヒーオイルはコーヒー豆がもつ本来の味わいを味わえる要素の一つですので、ペーパードリップの場合は美味しい要素もペーパーフィルターが遮断してしまうというデメリットもあります。ただ、コーヒーオイルが含まれるとまったりとした飲み口になるので、キレのあるコーヒーが飲みたい場合は必然的にコーヒーオイルが混じらないようにする必要があり、そういった場合にはペーパーフィルターは有効であるといえます。
手軽に安価に始められる
冒頭にも書きましたが、ペーパードリップに必要なフィルターやドリッパーは町中でもよく見かける事が多く、また、プラスチック製のドリッパーなどは安価に購入出来るため、手軽にプアオーバーのドリップに挑戦することが出来ます。とりあえず試しに、という方にオススメです。
ペーパードリップについて簡単に分かったところで、ペーパードリップでコーヒーを淹れるために必要な器具について、安価な製品を中心にご紹介していきます。
ペーパードリップに必要なもの
コーヒーポット
まず外せないのがコーヒーポットです。やかんではダメ?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、やかんだとお湯の注ぎ口が広すぎるため、コーヒーのドリップには向いていません。とりあえず安くても良いので、コーヒーポットを購入するのが良いでしょう。
Homeland コーヒーポット お茶などにも対応 クッキング用品 ステンレス製 エスプレッソポット ケトル - ブラック, 250ミリリットル |
安価コーヒーポットであれば、1500円もあれば購入することが可能です。ただし、値段相応なのでお試しと考えて、長くプアオーバーでコーヒーを淹れ続けそうならより作りの良い製品を購入するのが良いでしょう。
タカヒロやユキワなど、これらのコーヒーポットは作りもしっかりしていてオススメです。個人的にはこれらのような高くても品質の良いコーヒーポットを最初から購入することをオススメしますが、すぐ使わなくなるかも・・・、といった場合には安価な製品で試してみるのも構わないでしょう。
ドリッパー
ペーパードリップ用のドリッパーはメーカーによって種類も色々ありますが、材質もプラスチック・ガラス・陶器・磁器・ステンレス・銅など豊富です。
プラスチック製のドリッパーは大体が300円程度、高くても1000円あれば購入する事が可能です。とても安いので、各メーカーのプラスチック製のドリッパーを一通り購入して使ってみる、というのも良いでしょう。
HARIO (ハリオ) V60 耐熱ガラス 透過 コーヒードリッパー 01 ブラック コーヒードリップ 1~2杯用 VDG-01B |
材質にもこだわりたい方は、プラスチック以外のドリッパーも検討してみても良いかと思いますただし、値段は少々高くなります。
サーバー
ドリッパーに注がれたお湯がコーヒーとなって流れ出る先、ドリッパーの下に置くサーバーも用意する必要があります。サーバーにはコーヒーを受けるという役割の他に、抽出した量を確認するという役目も果たすので、意外と重要です。
サーバーはだいたいのものが1000円以内で購入できます。このあたりはデザインにこだわりが無ければ、どんな製品でも良いかと思います。
また、サーバーは専用のものではなく、ガラスでメモリがついていて、中が見えればなんでも良いので、ビーカーなどをサーバーとして使用するのも良いでしょう。
ペーパーフィルター
ペーパードリップというからには、ペーパーフィルターが必要です。
HARIO (ハリオ) V60 用 ペーパーフィルター 01W 1~2杯用 100枚入り ホワイト VCF-01-100W |
Melitta フィルターペーパー エコブラウン 【1~2杯用 100枚入り 】 PA1 ×1G NB FSCミックス 3個セット |
ペーパーフィルターはドリッパーのメーカー各社が販売しているので、ドリッパーのメーカーと同じものを使用しましょう。ただ、メリタ・カリタ・ハリオ・コーノ等の大手コーヒー器具メーカーは自社のドリッパー専用のペーパーフィルターを出していますが、それ以外の企業が製造しているドリッパーの場合、ドリッパー専用のペーパーフィルターが販売されていない場合もあります。その場合は、ドリッパーの形に合わせて、大手メーカーの販売するペーパーフィルターを購入して使用しましょう。
また、ペーパーフィルターにはブラウン(みさらし)とホワイトの2色がありますが、これは酸素漂白されているかいないかの違いです。ブラウンは酸素漂白されていない状態、ホワイトは酸素漂白されている状態のものなのですが、酸素漂白されていないブラウンは色や原料の木材の香りが溶け出すようなので、購入するならホワイトをオススメします。漂白と聞くと体に悪そうなイメージがありますが、塩素漂白ではないので問題ありません。
その他
コーヒーポット、ドリッパー、サーバー、ペーパーフィルターを準備すれば、あとはコーヒー豆とお湯があればこれでコーヒーを淹れることが出来ますが、より美味しくコーヒーを淹れるために持っておくと良いものがあります。
キッチンスケールは、使用するコーヒー豆の量、コーヒーの抽出した量をきちんと量るためのものです。適当にコーヒーを淹れるより、正確に量を量ったほうが確実に美味しいコーヒーを淹れられるようになります。また、ハリオのドリップスケールは重さと一緒にタイマーも見ることが出来るので、蒸らしの時間や抽出にかける時間をきちんと測ることも出来ます。
温度計はお湯の温度を見るために使用します。コーヒーを淹れる際、お湯が高温すぎると雑味が出たり、低温すぎると味が出なかったりするので、お湯の温度を測ることは意外と重要です。美味しくコーヒーを淹れられるお湯の温度は80℃〜90℃程度なので、沸かしたお湯の温度を温度計で測ってそのくらいの温度になるまで温度を下げるのが良いでしょう。
言及していませんでいたが、コーヒーカップを持っていない人はコーヒーカップも忘れずに。
ペーパードリップでコーヒーを淹れる
道具を準備する
最低限必要な道具が分かったら、コーヒーを淹れる方法も見ていきましょう。まず、使用する道具の準備です。中挽きで挽いたコーヒー豆、コーヒーポット、ドリッパー、サーバー、ペーパーフィルター、カップ、あればドリップ(キッチン)スケールと温度計を用意します。ペーパーフィルターは扇形のものは2つの綴じ目をそれぞれ逆方向に、円錐形の物はどちらかに綴じ目を折り込みます。綴じ目を織り込んだら開いて、ドリッパーにセットし、それをサーバーに乗せます。
お湯を沸かす・保温する・温度調節する
次に、お湯を沸かします。この時、コーヒーを淹れる分だけではなくカップやサーバー、やかんでお湯を沸かしてコーヒーポットに移す場合はコーヒーポットなどの、抽出器具を保温するためのお湯も余分に沸かします。
お湯が沸いたらカップ、ドリッパーを乗せたサーバー、コーヒーポットにお湯を注ぎます。保温できれば良いので、たっぷり注ぐ必要はありません。保温する分のお湯を注ぎ終えたらコンロの火を止めて、やかんもしくはコーヒーポットのフタを開けて、お湯の温度を下げます。お湯の温度を下げるのは、コーヒーを淹れる際にお湯の温度が高すぎると雑味が多く出てしまうためです。温度が高すぎず低すぎない、80℃〜90℃程度が丁度よいのでそのくらいの温度になるように温度を下げますが、このとき温度計があるとより正確に温度を調節できます。温度計がない場合は、一旦コーヒーポットやサーバーなどの別の容器にお湯を移し替えてから再度戻すとある程度温度が下がります。しかし、その場合どの程度まで温度が下がったかはわからないので、やはり温度計は合ったほうが良いかもしれません。
コーヒー豆を蒸らす
お湯の温度を下げたら、サーバーの保温用のお湯を捨て、ドリッパーに中挽き程度で挽いたコーヒー豆を投入します。ドリッパーを左右に揺らしてコーヒーの粉の表面を平らにし、お湯を注ぎます。お湯はドリッパーの中心から注ぎ始め、徐々に外側に向けて円を描くようにして細くゆっくり注ぎます。このとき、外側までお湯でコーヒー豆が湿るようにしっかりお湯を注いでしまうと、ドリッパーの側面からお湯が下に流れ落ちてしまうので、お湯を注ぐ範囲はある程度内側で留めておくようにしましょう。
また、蒸らしのお湯の量ですが、だいたい豆の重量と同じくらいのお湯の量を目安に注ぐと注ぎすぎず、かつ全体が蒸らされます。ですが、これは豆の挽き具合や体積、ドリッパーの形状によって異なり、細挽きならお湯の量を増やし、粗挽きなら減らす、ドリッパーの穴の大きさが大きければ量を減らすなど、工夫が必要になります。これについては、回数を重ねて感覚を掴むしかありません。
更に言うと、蒸らしのときに1適目のコーヒーが落ちるまでのお湯の量は、お湯の注ぐ速度によっても異なります。勢いよく注げばすぐコーヒーが落ちてしまいますし、点滴で注げばなかなか落ちません。点滴で、とまでは言いませんが、お湯はなるべくゆっくり静かに注ぐと無駄なく蒸らしを行うことが出来ます。
蒸らす時間は一般的には20秒〜60秒程度で、蒸らし時間が長くなるほど抽出されたコーヒーの苦味が強くなります。
これらのように、コーヒーの蒸らしには状況に応じて適切な蒸らしの量や時間があります。これらを適切に調節するためにもドリップ(キッチン)スケールやタイマーを使用すると良いでしょう。
コーヒーを抽出する
蒸らしを終えたらいよいよコーヒーを抽出します。ドリッパーの真ん中から細くゆっくりお湯を注いで、外側に円を描くように移動していきます。500円玉くらいのサイズまで円を描いたら、今度は内側に向かって円を描きながら戻る、という動作を、必要な抽出量になるまで続けます。このとき、新鮮なコーヒーはモコモコと盛り上がってアクが出てきます。このアクは雑味の元なので、側面に向かって流れていかないように、中央表面に留まるように注意しながら、かつ蒸らしのとき同様、お湯を外側に注ぎすぎないように注意してお湯を注ぎ続けます。
必要量に達したら、ドリッパーを取り外します。このとき、必要量になるまでお湯は注ぎ続け、必要量になったらドリッパーの内部に落ちきっていないお湯が残っていても取り外します。これは、全てのお湯を落としきってしまうと、ドリッパーの表面に溜まった雑味成分のアクも流れ落ちてしまうからです。つまり、必要量になるのを見越してお湯を注ぐのを止めるのではなく、必要量が抽出されたらお湯を注ぐのをやめる、というようにします。
コーヒーの抽出を始めてから終えるまで、量に関わらず3分程度が適切とされます。ですので、1杯分のコーヒーを淹れるときのお湯の注ぎ方で5杯分のコーヒーを淹れると時間がかかり過ぎるので、量によって適切にお湯の勢いを変えることも大事です。
ペーパードリップのススメ
はじめやすい
コーヒーのペーパードリップについてご紹介しました。初めての人には伝わりづらい部分も多々あったかと思いますが、器具が安価でも揃えやすいので、コーヒーを淹れる器具を全く持っていない人でもペーパードリップなら気軽にコーヒーのドリップに挑戦することができるかと思います。初めは上手くコーヒーを淹れるのは難しいかもしれませんが、回数をこなして間隔を掴むと安定して美味しいコーヒーを淹れられるようになります。
一つ上のコーヒーを飲もう
インスタントや缶コーヒーを飲んでいた人が、コーヒー豆の販売店で購入したコーヒー豆をペーパードリップで淹れて飲むと、それが品質の良いコーヒー豆であればあるほど、今まで飲んでいたコーヒーと全くの別物だということを実感できると思います。それくらい、本来のコーヒーというものは複雑で味わい深いものです。
少しの手間はかかりますが、その分美味しいコーヒーを飲むことが出来ます。コーヒーを飲む人で、インスタントや缶コーヒーを飲んでいる人、もちろんコーヒーを飲まない人にも、是非ペーパードリップを1度試して頂きたいと思います。