コーヒードリッパーのメーカー・製品一覧まとめ
【2017-12-11】
【2018-09-29】
はじめに
ドリッパーのメーカーについて
現在、コーヒーのドリッパーを世に送り出しているのメーカーはたくさんあります。誰でも名前の知っている大手メーカーから、キッチンインテリア全般を販売するメーカー、もっと小規模な、町の雑貨屋さんにしか置いていないようなメーカーまで。ここでは、大手コーヒー器具メーカーが販売する、主にプアオーバー式のドリッパーをメインに、各メーカーの販売しているドリッパーについて触れていきたいと思います。
ちなみに、プアオーバーとは、コーヒー粉の上からお湯を注いでコーヒーを抽出する、所謂従来のハンドドリップの事を指します。
メリタ
メリタについて
メリタはドイツに本社を構える、世界的コーヒー器具メーカーです。創業1908年と100年を超える老舗で、創業者のメリタ・ベンツはペーパードリップの生みの親と言われています。
メリタが取り扱う製品はドリッパーだけではなく、ペーパーフィルターは勿論、ミルやコーヒーメーカー、コーヒーポットまでと、コーヒーに関わるもの全般を販売しています。
メリタのドリッパーの特徴
メリタのドリッパーは台形で、底面に一つだけ穴が空いており、そこからコーヒーが流れ落ちていくようになっています。側面は上から下へ直線の溝が出来るようにデコボコしていて(この溝をリブといいます)、これによってお湯を注いだときの空気の逃げ道を作ってあげています。現在大手メーカーが販売しているドリッパーの中では最も底面の穴の面積が小さく、ゆっくりと抽出されるようになっています。
メリタのドリッパーの種類
メリタのドリッパーは主に2種類あり、通常の一つ穴ドリッパーと、アロマフィルターという穴の位置を少し高めの位置にずらすことで、蒸らしを多くして香りを引き出す、というコンセプトのドリッパーが販売されています。ドリッパーに使用するフィルターは、同じくメリタから販売されているペーパーフィルターを用いますが、この時、ドリッパーの品番とペーパーフィルターの「1x1」の部分を確認し、同じ数字のものを使用するようにしましょう。
素材はどちらも樹脂製ですが、通常の一つ穴ドリッパーには陶器製のものもあります。
また、ハンドドリップ用のドリッパーだけではなく、フレンチプレスも販売しています。
カリタ
カリタについて
メリタと名前が似ていますが、こちらは日本のメーカーです。こちらもおよそ70年程前に創業した歴史ある企業で、国内では最も有名なコーヒー器具メーカーだと思います。カリタもコーヒードリッパーだけではなく、コーヒーポッドやミルなどコーヒー関連器具全般を取り扱っています。
ちなみに、メリタとカリタ、名前が似ていますが関連会社などではありません。一説ではドイツ語のkaffee(コーヒー)とfilter(フィルター)が由来という話もありますが、定かではありません。
カリタのドリッパーの特徴
カリタのドリッパーは、メリタと同じく台形をしているものと、ウェーブシリーズというものの2種類に分類されます。メリタと同じ台形のドリッパーは底面に3個の穴が直線状に空いていて、メリタよりも短時間でコーヒーが抽出されるような構造になっています。また、メリタと同じように側面には縦のリブも付いています。
ウェーブシリーズは少々形が異なり、丸みを帯びた台形となっています。底面の穴は3個空いていますが、直線ではなく円周に沿うようにして均等に配置されています。また、ウェーブシリーズにはリブがなく、使用するペーパーフィルターも波打った独特な形のものを使用します。ドリッパーとの接触面が少なく、底が平らなことから素早く均一にコーヒーを抽出することができます。
カリタのドリッパーの種類
カリタのドリッパーは大きく前述の2種類に分類されますが、形、大きさ、材質が違う製品が多く存在します。
こちらが通常のカリタのドリッパーです。コーヒーを自宅で淹れない方でも見たことがあるかと思います。磁器、プラスチック、銅製のものがあり、またサイズも豊富で、1〜2杯用の小さいものから、プラスチックのものだと7〜12杯用の大きなものまであります。ペーパーフィルターは、101〜104というシリーズのものを使用します。ドリッパーの型番の数字が使用するペーパーフィルターの種類を表しています。
通常のラインナップとは別に、波佐見焼と呼ばれる焼物とコラボレーションしたタイプもあります。光が透けて見えるほど薄く、内側のリブはロトシリーズよりもシャープに刻まれています。
少し形が変わった、1杯用のカフェ・トール、カフェ・ウノというドリッパーもあります。マグカップに直接のせて、そのままドリップ出来るタイプです。カフェ・トールはカフェ・ウノよりも少し大きめの作りとなっています。
更に、デュアルドリッパーという取っ手のないタイプもあります。こちらは内側と外側でパーツが2層に分かれており、直接ドリッパーを持っても熱くない、といったメリットがあります。
ウェーブシリーズは1〜2杯、2〜4杯用の2サイズがあります。ウェーブシリーズにはプラスチックのものはなく、ステンレス、磁器、ガラス製のものがあります。ペーパーフィルターはウェーブシリーズ用の155、185フィルターを使用することができます。
ステンレス製のものでも、新潟県燕市とコラボレーションしたものがあります。大きく形状が変わっているわけではありませんが、ステンレス加工で有名な新潟県の職人さんが手がける高品質な製品となっています。
ハリオ
ハリオについて
ハリオは耐熱ガラスの製造を行っているメーカーです。創業90年を超える企業で、初めは理化学用品の加工を主としたメーカーでした。その後、ガラスの加工技術を用いてコーヒーサイフォンの製造し、そこから徐々にコーヒーやティー用品など家庭分野へと進出しました。なので、根っからのコーヒー器具のメーカーではありません。そんなハリオですが、2010年のワールド・バリスタ・チャンピオンシップ優勝者、マイケル・フィリップスがハリオのドリッパーを使用していた等の理由で人気となり、現在では世界的にもコーヒードリッパーのメーカーとして有名になりました。
ハリオのドリッパーの特徴
ハリオのドリッパーの特徴は、円錐形、大きな一つ穴、そしてスパイラルリブです。円錐形にすることでお湯が抜ける際に中心に向かって流れるようになり、よりコーヒー粉とお湯が接触している時間が長くなります。大きな一つ穴はドリッパーにお湯がたまることがなく、また、お湯を注ぐ速度に合わせて抽出速度も変えることが出来るので、コーヒーをより好みの味に調節しやすくなっています。そしてドリッパーの側面に刻まれた螺旋状のリブ、スパイラルリブがお湯を注いだときの空気の逃げ道をしっかり作り、コーヒー粉をしっかりと膨らませます。
ハリオのドリッパーの種類
ハリオのドリッパーというとV60ドリッパーと呼ばれる、前述の特徴を持ったドリッパーを指します。
HARIO (ハリオ) コーヒードリッパー V60 02 セラミック ホワイト コーヒードリップ 1~4杯用 VDC-02W |
V60ドリッパーは材質が安価なプラスチックからちょっと高い銅製までと豊富に取り揃えており、スタイルにあわせたチョイスができるのが良いところだと思います。ペーパーフィルターは、品名に記載してある、”01”や”02”の数字に合わせたペーパーフィルターを使用します。
V60ドリッパー以外にも、ネルドリップ、フレンチプレス、ペーパーレスのドリッパーも販売しています。
カフェオールドリッパーは抽出口がステンレスメッシュになっていて、ペーパーレスでコーヒーオイルの抽出も可能なドリッパーです。
コーノ
コーノについて
コーノの正式な会社名は珈琲サイフォン株式会社と言います。こちらも創業90年以上の長く続く日本の会社で、医療用品の輸出を行う会社でした。初代社長の考案によってサイフォン式のコーヒー器具の販売を開始し、その後に現在の社名となり、コーヒーの焙煎などの研究を経てコーノ式ドリッパーが発明されていくようになります。ちなみにこの”コーノ式”と言うのは歴代の社長の名字である”河野”から取られているようです。
コーノのドリッパーの特徴
コーノ式ドリッパーは名門ドリッパーと呼ばれます。ハリオと同じく大きな一つ穴を持ち円錐形をしていて、上から下への縦のリブが抽出穴付近にのみ付いています。抽出穴付近にのみリブをつけることで、コーヒー粉の上層に貯まる雑味成分はなるべく落とさず、リブのある部分からお湯が落ちるようにしているのだそうです。名門ドリッパーはコーヒー愛好家やプロからの評判が良く、他社メーカーに比べると目立ちませんが根強い人気を持つドリッパーです。
コーノのドリッパーの種類
コーノの販売するドリッパーは、名門ドリッパーとネルドリッパーの2種類があります。名門ドリッパーのペーパーフィルターは2人用、4人用に合わせた大きさの専用のペーパーフィルターを使用します。
上の画像の他に、最近ではMDK型と呼ばれるリブを更に短くし、誰でも美味しくコーヒーが淹れられるようにした名門ドリッパーも販売されています。
名門ドリッパーで少々残念なのが、名門ドリッパーの材質はプラスチックのものしか無いということです。
KINTO(キントー)
KINTOについて
KINTO(キントー)は滋賀県に本社を置くキッチンインテリアや雑貨を企画開発・販売するメーカーです。シンプルでモダンな製品が多く、街の雑貨屋などでも見かけたことがあるのではないかと思います。コーヒー器具の販売が専門ではありませんが、ドリッパーの種類は豊富でコーヒーポット等の関連器具の販売も行っており、今後まだまだコーヒー界隈を賑わせてくれるメーカーだと思います。
KINTOのドリッパーの特徴
KINTOのドリッパーはブリューワーと呼ばれ、ペーパーフィルターとステンレスフィルター、両者を好みに合わせてセットして使用することができます。ブリューワーは円錐形で大きな一つ穴が空いており、側面には抽出口からドリッパー上部まで、縦のリブが等間隔で付いています。すっきりとしたコーヒーを飲みたいときはペーパーフィルターを、コーヒーオイルの含んだ味わい豊かなコーヒーを飲みたいときはステンレスフィルターをそれぞれブリューワーにセットしてコーヒーを抽出します。ブリューワーのサイズは2cups、4cupsの2種類があり、ペーパーフィルター、ステンレスフィルターもそれに合わせた専用のサイズのものを使用します。
KINTOのドリッパーの種類
ブリューワーは磁器とプラスチック、ガラスの3種類があります。磁器のブリューワーには、SLOW COFFEE STYLE SPECIALTYと呼ばれるシリーズがあり、重厚感のあるデザインや、渋めのデザインが好きな方にオススメです。
こちらは、ブリューワーにセットするステンレスフィルターです。ブリューワーだけではなく専用のカラフェにセットしても使用することができます。
また、少し変わった形のOCTブリューワーというドリッパーもあります。こちらも通常のブリューワーと同様、大きな一つ穴と上から下へ等間隔のリブがついていて、同じようにフィルターをセットして使用します。
Aerobie(エアロビー)
Aerobieについて
Aerobieはアメリカのフリスビーを製造しているメーカーで、1984年に設立されました。フリスビーとコーヒーにどのような接点があったのかは分かりませんが、Aerobieの社長であるアラン・アドラーという方がコーヒーの抽出器具を作り、今では世界的に人気になっています。
Aerobieのドリッパーの特徴
Aerobieのドリッパーはエアロプレスと呼ばれます。エアロプレスはプラスチック製の筒状のパーツ”チャンバー”と棒状のパーツ”プランジャー”の2つを組み合わせて使用します。プランジャーの片面にはゴムが付いていて、チャンバーの中にプランジャーを押し込み、空気圧を利用してコーヒーを抽出します。濾過は、専用の円形のペーパーフィルターで行います。
エアロプレスで抽出されるコーヒーは比較的あっさり目ですが、コーヒー豆のもつコクや風味などはしっかり抽出され、ハンドドリップやフレンチプレスとはまた違うコーヒーを体験することができます。また、細引きのコーヒー豆にお湯を注いで混ぜてプレスするだけですので、誰にでも美味しくコーヒーを淹れることができるのも良いですね。
Aerobieのドリッパーの種類
他社ではいろいろな種類のドリッパーを取り揃えていますが、エアロプレスは1種類のみ。もともとフリスビーのメーカーなので、今後バリエーションが増えることも無いかもしれません。しかし、確実にコーヒー界隈での地位を確立しています。
Aerobieの純正ではありませんが、ステンレスフィルターも販売されています。ペーパーフィルターと違った味わいを感じたい方にオススメです。
bodum(ボダム)
bodumについて
bodumは1944年にデンマークで設立された会社です。デンマークの家庭用品の卸売から始まり、サイフォン式コーヒーメーカーの開発で成功を収めた後、フレンチプレスの製造を始めとしてティー用品や小物家電の製造を行っています。フレンチプレスを普及させた会社として有名ですね。ちなみに、フレンチプレス自体はアッティリオ・カリマーニという方が特許を持っているもので、bodumが開発したものではありません。
bodumのドリッパーの特徴
bodumといえばフレンチプレスです。フレンチプレスは厳密にはここまで書いてきた”ドリッパー”とは少々異なるのですが、コーヒー界隈では無視できないメーカーで、一応ドリッパーも製造しているので触れておきたいと思います
まず、フレンチプレスは耐熱ガラス等でできた容器、容器をセットするホルダー、プレスフィルターの付いた蓋で構成されます。ホルダーにセットした容器に荒く挽いたコーヒー粉を入れて、お湯を注ぎ、蓋をして数分待った後にプレスフィルターを押し下げて終わり、という非常にシンプルで簡単にコーヒーを淹れることができます。コーヒーをペーパーフィルターで濾過しないので、コーヒーオイルを含んだ風味豊かなコーヒーを楽しむことができますが、ペーパーフィルターがないため細かい微粉がカップに含まれてしまうという欠点もあります。
bodumのフレンチプレスは、基本構造は前述のフレンチプレスと変わりはありませんが、サイズと見た目のバリエーションが多く取り揃えられています。サイズは小さいものだと1〜2杯用の350mLから、500mL、 1Lと、ある程度人が集まった場合にも対応することが可能です。また、ホルダーの種類が豊富で、使わないで置いておくだけでインテイリアとしても活用できます。ホルダーのない、ステンレスでできたフレンチプレスもあり、こちらも見た目を気にする方におすすめです。
bodumのドリッパーの種類
【正規品】 BODUM ボダム CAFFETTIERA フレンチプレスコーヒーメーカー 1.0L オフホワイト 1918-913 |
こちらは耐熱ガラス容器とホルダーが別のもの。コーヒーを抽出する部分の仕組みは変わりませんが、ホルダーのデザイン、カラーのバリエーションが豊富です。
【正規品】 BODUM ボダム COLUMBIA フレンチプレスコーヒーメーカー ダブルウォール 1.0L 1308-16 |
ホルダーがなく、ステンレスでできたフレンチプレスです。二重構造となっていて、保温効果にも優れています。
【国内正規品】 BODUM ボダム POUR OVER コーヒーメーカー 1.0L コルク 金属フィルター 11571-109 |
bodumが唯一出している、プアオーバーのドリッパーです。ステンレスフィルターによる抽出で、フレンチプレス同様、コーヒーオイルを含んだコーヒーを楽しむことができます。
ZeroJapan(ゼロジャパン)
ZeroJapanについて
ZeroJapanは1992年に創業した日本の岐阜県にある会社です。メイドインジャパンの高品質なティーポット、キャニスターを始めとするキッチン用品を国内は勿論、海外へ向けて販売をしています。商品デザインはシンプルですが斬新で、サイズ、カラーバリエーションも豊富です。
ZeroJapanのドリッパーの特徴
ZeroJapanのドリッパーは2種類、サイズの違いのみなので実質的に1種類のみとなります。独特な持ち手の2つ穴のドリッパーで、ドリッパーのカップに乗せる部分には空間が空いていて、ドリップしたコーヒーがどのくらいまで下の容器に入ったか分かるようになっています。専用のペーパーフィルターはないので、カリタなどのフィルターを利用します。
ZeroJapanのドリッパーの種類
なめらかな形をした陶器製のドリッパーです。持ち手部分がつまみ持ちしかできないので、指に引っ掛けて持つ事ができないのが難点でしょうか。
bonmac(ボンマック)
bonmacについて
bonmacは、メーカー名ではなくブランド名です。bonmacブランドを展開する会社自体の名前はラッキーコーヒーマシン株式会社という、1964年に創業した会社です。どうやらUCCグループの会社のようですが、会社名は家庭用のコーヒー器具にのみ触れている人には少々聞き慣れないかとおもうので、比較的馴染みのあるbonmacというブランド名で取り扱いたいと思います。
bonmacブランド自体の立ち上げは1982年で、高品質でリーズナブルな機器開発をテーマとした商品を取り扱っています。取扱の幅は広く、ドリップポットやドリッパーは勿論、グラインダーやコーヒーマシンと多岐にわたります。
bonmacのドリッパーの特徴
bonmacの取り扱うドリッパーは決まった形のものではなく、ハリオのような円錐形のものもあれば、メリタやカリタのような台形のものあります。また、ペーパーフィルターも専用のものが用意されています。
bonmacのドリッパーの種類
V型のドリッパーには磁器、樹脂製のものがあります。外見はハリオのV60ドリッパーに似ていて同じ大きな一つ穴ですが、リブは縦に直線上に付いています。
こちらはメリタ。カリタと同じ形をしたドリッパーです。穴は小さな1つ穴となっていて、側面には縦のリブが付いています。
少々変わった形のこちらは、台形のものと同じペーパーフィルターを使用します。
さいごに
日々進化を続けるコーヒードリッパー
以上、ほんの一部ですが紹介させて頂きました。ここで紹介したもの以外にもオリジナルのプアオーバー用のコーヒードリッパーは数多く存在し、時間とともに増えていくかと思います。また、コーノ式のように、長い歴史を持つドリッパーもコーヒーを淹れる人達のニーズに合わせて変化しています。
是非、自分のお気に入りの一杯を淹れられるドリッパーを探してみてください。