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デカフェとは?カフェインレスコーヒーの”仕組み”について知ろう!

【2019-01-06】

デカフェとは?

青いテーブルに乗ったコーヒー

”デカフェ”という言葉をご存知でしょうか。スターバックスなど、有名なコーヒーチェーンを利用する方はこの単語を見た事があるかと思いますが、デカフェとは一体どういったものなのでしょうか。

デカフェとは、カフェインを取り除くこと

”コーヒー”というキーワードと、”デカフェ”というその字面でなんとなく察しが付く人もいると思いますが、デカフェとはカフェインを取り除くこと、もしくは取り除かれたものを指します。デカフェ(decaf)は「decaffeinated」の略で、言葉の中に”カフェイン”という単語が含まれているのが分かります。

デカフェはその他、ディカフェ、カフェインレスとも呼称されますが、どれも意味は同じです。

デカフェはコーヒーだけじゃない

デカフェは前述の通り、カフェインを取り除くことや、カフェインを取り除いたものを指すので、コーヒーに限ったものではありません。本来カフェインが含まれているものからカフェインを取り除いたり、カフェインを添加するものにカフェインを加えない事もデカフェに当てはまります。ただし、一般的にデカフェという場合、カフェインを取り除いたコーヒーを指すことがほとんどです。

コーヒー以外で身近なカフェインを含む飲料だと、コーラや緑茶や烏龍茶、レッドブルやモンスターエナジーなどのエナジードリンクがあります。これらのものからカフェインを取り除くこと、添加しない事もデカフェに当たります。

コーヒーのデカフェについて知ろう

デカフェはコーヒーだけのものではありませんが、デカフェと言うと一番気になるのは、コーヒーのカフェインについてだと思います。ここからはコーヒーのデカフェに絞って、カフェインの取り除き方やその味わいについて見ていきましょう。

コーヒーのデカフェ方法

コーヒーカップからこぼれたコーヒー豆

カフェインを取り除くことがデカフェ、ということは分かりましたが、どのようにしてコーヒーからカフェインを取り除くのでしょうか。

カフェインを取り除く方法は3種類

デカフェする場合、焙煎されたコーヒー豆や抽出されたコーヒーからカフェインを取り除くのではなく、収穫した後のコーヒー豆、つまりコーヒー生豆の状態でデカフェを行います。デカフェの方法は3種類あり、有機溶媒を使用する方法、有機溶媒と水を使用する方法、二酸化炭素を使用する方法があります。

デカフェ方法によってメリット・デメリットがありますが、どの方法もカフェインの脂溶性が高い(水に溶けやすい)という性質を利用して、コーヒー生豆からカフェインを抽出します。

デカフェ① 有機溶媒抽出法

有機溶媒抽出法は、初めて開発されたカフェイン除去方法で、ケミカルメソッドとも呼ばれます。文字通り有機溶媒(水に溶けない物質を溶かす、常温常圧で液体の有機化合物の総称)を使用してコーヒー生豆からカフェインを取り除きます。

有機溶媒抽出法では、蒸気によって膨潤させたコーヒー生豆に有機溶媒を通してカフェインのみを抽出します。有機溶媒には、現在では主にジクロロメタン(塩化メチレン)と呼ばれる液体が利用されます。ジクロロメタンは、主に金属や機械を洗浄するために使用される液体で、皮膚や目に触れると炎症を引き起こす場合があるような、人体に影響を及ぼすような液体のようです。

有機溶媒抽出法は安価にカフェインを除去できる方法であるものの、有機溶媒がコーヒー生豆に触れるため安全面において不安が残ることや、カフェイン以外の成分の損失があるなど、短所も多いデカフェ方法です。日本にいる限りは有機溶媒抽出法によってカフェインが除去されたコーヒーに出会うことは無いようですが、このデカフェ方法によってカフェインが除去されたコーヒーかどうかが分かるのであれば、そのコーヒーを飲むことは控えたほうが良いでしょう。

デカフェ② 水抽出法

水と有機溶媒を使用してコーヒー生豆からカフェインを取り除く方法を水抽出法、ウォーターメソッド、もしくはスイス式水抽出法と呼びます。水抽出法では、コーヒー生豆を水に浸すことでカフェインを含む水溶性の成分を水分中に抽出し、その水溶性の成分が溶けだした水から有機溶媒を使用してカフェインのみを抽出します。

水からカフェインを取り除いたら、カフェインの抽出に使用した有機溶媒を取り除きます。有機溶媒を取り除いた水に再びコーヒー生豆を浸すことで、カフェインを除いた水溶性の成分がコーヒー生豆に戻り、結果的にカフェインのみがコーヒー生豆から取り除かれる、という仕組みです。

水抽出法では、有機溶媒がコーヒー生豆直接触れることは無いため、有機溶媒抽出法よりも安全性が高く、カフェイン以外の成分の欠落が少ないというメリットがあります。大抵のカフェインレスコーヒーの場合、この水抽出法によってデカフェが行われているようです。

デカフェ③ 超臨界二酸化炭素抽出法

超臨界二酸化炭素抽出法は、超臨界流体状態にした二酸化炭素を用いてカフェインを除去する方法です。超臨界流体とは、臨界点以上の温度や圧力の状態下にある物質のことで、気体の拡散性と、液体の溶解性を併せ持つ状態の物質です。超臨界流体にした二酸化炭素は、コーヒー生豆の内部に浸透し易く、かつ効率的にカフェインを抽出することが出来ます。

カフェインの抽出後、圧力を戻すことによって超臨界流体の二酸化炭素は気化するため、コーヒー生豆からの除去が容易で、かつ残留したとしても二酸化炭素であるため危険性がありません。カフェインの除去率は99%とほとんど全てのカフェインを取り除くことが可能で、薬品を使用することもないため、現時点では最も優れたデカフェの方法とされています。

欠点があるとすれば、超臨界流体の二酸化炭素を作るための設備が必要であるため、設備投資費用が高いという点です。そのため、優れたカフェイン除去方法ですが、この方法でデカフェされたコーヒー生豆は比較的少なく、まだ主流とは言えません。

ちなみに、スターバックスの「ディカフェ スターバックス ラテ」はこの超臨界二酸化炭素抽出法でカフェインを取り除いたコーヒー豆を使用しています。

カフェインは100%除去できない

一つ注意しておきたいのが、どのデカフェ方法でも、100%カフェインは除去出来ないという点です。9割以上のカフェインを取り除けるので、ほぼ全て取り除けると言っても過言ではありませんが、完全に取り除けているわけでは無いので、ほんの少しでもカフェインを取ってはいけない、と言う人はカフェインレスコーヒーであっても注意して摂取するようにしましょう。

カフェインレスコーヒーの味

コーヒーを飲む女性

ほとんどのカフェインをデカフェによって取り除かれたカフェインレスコーヒーですが、その味わいはカフェインを取り除いていないコーヒーと比較すると、どのように違うのでしょうか。

カフェインレスコーヒーは苦味が少ない

カフェインレスコーヒーは、カフェインを取り除いていない同じコーヒーと比較すると飲み口が軽く、スイスイと飲みやすくなります。また後味もアッサリしていて、酸味が強く感じやすくなります。

ただ、同時に香りや風味も落ちてしまい、一口に言うのであれば”軽くなっている”のがカフェインレスコーヒーの特徴ですが、一番の特徴は苦味が少なくなるという点です。

苦味が少なくなる理由

カフェインレスコーヒーの苦味が少なくなるのは、デカフェによってカフェインが取り除かれているためです。コーヒー豆に含まれるカフェインは、無臭ですが苦味があります。単純に、苦味を持つカフェインが取り除かれることで、コーヒーの苦味が少なくなります。

苦味が抜けると、人によってはコーヒーを飲んでいる感じがしなくなるかもしれません。そういった場合には、カフェインレスコーヒーで”コーヒー感”を出すために、コーヒー豆の焙煎度を深くして苦味をプラスする方法もあります。

コーヒーのグレードによって味わいは異なる

全てのコーヒー豆に言えることですが、コーヒー豆は品質の良い物のほうが美味しいです。デカフェしたコーヒー豆も同じで、品質の良いスペシャルティコーヒーのカフェインレスコーヒーと、コモディティコーヒー(コマーシャルコーヒー)のカフェインレスコーヒーでは美味しさが異なります。

スペシャルティコーヒーは、風味が良く、味の個性も強いため、デカフェしても比較的ハッキリとした味わいのコーヒーを淹れることが出来ます。しかし、それよりもグレードの低いコモディティコーヒーなどは、元々の味わいが良いとは言えないため、デカフェしたときに、ぼけたような、コーヒー感の薄いコーヒーとなってしまいます。

そのため、カフェインレスコーヒーでも味を妥協したくないなら、スペシャルティコーヒーのデカフェしたコーヒー豆を購入するのが良いでしょう。デカフェしていない、通常のコーヒー豆で淹れたコーヒーと比較するとどうしても味は劣ってしまいますが、それなりに満足のいくコーヒーを淹れることが可能でしょう。

販売されているカフェインレスコーヒー製品

コーヒーサイン

カフェインレスコーヒーはあまり身近なものではない様に感じますが、デカフェされたコーヒー豆は通販などで購入することが可能で、インスタントコーヒーやドリップパックなど既成品も充実しています。コーヒーショップに行かなくても、自宅でカフェインレスコーヒーを楽しむことができます。

インスタントコーヒー

自宅で手軽にコーヒーを飲みたい場合の選択肢の一つに、お湯に溶かすだけで飲むことが出来るインスタントコーヒーがあります。カフェインレスコーヒーがどういったものなのか、まず試してみたい場合や、普段からインスタントコーヒーを飲んでいる人でカフェインレスに切り替えたい人は、インスタントのカフェインレスコーヒーを選んでみては如何でしょうか。

ネスカフェ ゴールドブレンド カフェインレス 80g

マウントハーゲン オーガニック フェアトレード カフェインレスインスタントコーヒー100g

UCC おいしいカフェインレスコーヒー インスタントコーヒー 45g

クライス カフェインレスコーヒー 50g

意外なことに、誰もがご存知のネスカフェやUCCからもカフェインレスコーヒーが販売されています。普段ネスカフェやUCCのコーヒーを飲む人は、その味わいの違いを比較してみるのも面白いでしょう。

また、ネスカフェ以外からもインスタントのカフェインレスコーヒーが販売されているので、気になる方はチェックしてみて下さい。

コーヒー豆・粉(レギュラーコーヒー)

近所にコーヒー豆の専門店がなくても、コーヒー豆・粉の状態のカフェインレスコーヒーを通販で購入することが可能です。ハンドドリップでコーヒー豆からコーヒーを淹れている人は、せっかくなのでカフェインレスのコーヒーも、豆や粉から選んでみましょう。

ラバッツァ デカフェ (カフェインレス) VP 250g(粉)

カフェインレス コーヒー豆 自家焙煎 ブラジル 珈琲 by Tokyo Coffee Decaf (豆のまま 200g (オススメ))

小川珈琲店 カフェインレスブレンド 180g(粉)

97%以上カット!カフェインレスコーヒー(コロンビア) (400g) 豆のまま

カフェインレスコーヒーということもあり、通常のコーヒー豆と比較すると数が少ないため、希望の産地・種類のコーヒー豆のものが手に入るとは限りませんが、それでも種類はある程度揃っているようなので、大手通販サイトやコーヒー豆の専門店の通販サイトで希望のコーヒー豆があるかどうか探してみてください。

コーヒー豆の種類にこだわりがなければ、デカフェしたコーヒー豆を手に入れるのは簡単です。

ドリップパック

インスタントコーヒーよりも更に手軽にカフェインレスコーヒーを楽しみたいなら、分量を測る手間すら必要のない、マグカップにセットしてお湯を注ぐだけの簡単なドリップパックのカフェインレスコーヒーは如何でしょうか。

カフェインレスコーヒー ドリップコーヒー【デカフェ・コロンビア】50杯分

モンカフェ カフェイン レス コーヒー 10P×3袋

UCC おいしいカフェインレスコーヒー ドリップコーヒ 350g 7g×50袋

アバンス おいしいカフェインレスドリップコーヒー (7g×8P)×6個

ドリップパックのカフェインレスコーヒーも種類が豊富で、”モンカフェ”などの有名ブランドからもカフェインレスコーヒーが販売されています。贔屓にしているメーカーやブランドがあるなら、通常のドリップパックとカフェインレスのドリップパックで飲み比べてみるのも面白いでしょう。

ボトルコーヒー

インスタントやドリップパックなど、お湯を注いで淹れるタイプのコーヒーだけではなく、ボトルコーヒーにもカフェインレス製品があります。

UCC おいしいカフェインレス ボトルコーヒー 無糖 ペットボトル 930ml×12本

加藤珈琲店 カフェインレス アイス リキッド コーヒー 1L×6本 無糖

UCC ビーンズ&ロースターズ カフェオレ マイルドラテ デカフェ 500ml×24本

ネスカフェ ゴールドブレンド コク深め ボトルコーヒー カフェインレス 無糖 900ml×12本

インスタント、コーヒー豆、ドリップパックに比べるとカフェインレスのボトルコーヒーの製品ラインナップは多くありませんが、UCCやネスカフェなど、大手コーヒー飲料メーカーの製品もあるため、安定した味わいのカフェインレスコーヒーを楽しむことが出来るでしょう。また、ブラックコーヒーだけではなく、カフェインレスのカフェオレもあるのは、ボトルコーヒーならではのラインナップですね。

夏に冷たいコーヒーを飲みたい、でもカフェインレスはあまり摂取できない・・・というときは、冷えたカフェインレスのボトルコーヒーを、氷を敷き詰めたグラスに注いで飲むのがベストでしょう。

コーヒー代用品

その他、コーヒーではありませんが、カフェインの摂取制限によってコーヒーを飲むことができない人のために、コーヒーの代用品があります。あくまで代用品ですのでコーヒーではありませんが、その分完全にカフェインレスなので、カフェインを摂取することなくコーヒーのようなものを飲みたい、といった場合には、選択肢としてアリかもしれません。

コーヒーの代用品というだけあって、コーヒーの味わいに近いものを目指して作られた製品が多く、例えば黒豆と玄米を使用して作られたやさしい黒豆玄米珈琲 といったものがあります。その他にも様々な素材でできたコーヒー代用品があるので、気になる方は探してみて下さい。

デカフェはコーヒーの形の一つ

円卓に乗ったコーヒー

デカフェされたコーヒーは、一見変わり種に見えますが、コーヒーが愛され、正当に進化してきた形の一つなのだと思います。

コーヒーの楽しみ方は様々

コーヒーにはいろいろな飲み方があります。そのままお湯を注げばホットコーヒー、圧力を加えればエスプレッソ、ミルクを注げばカフェオレ・カフェラテ・カプチーノ。固めればゼリーになって、デザートとしても楽しめます。日常や気分にあわせて飲み方を変えれば、いつでも新鮮な気持ちで楽しむことが出来る、素晴らしい飲み物だと思います。

昔は馴染みの無かった、デカフェによってカフェインが取り除かれたカフェインレスコーヒーは、今となってはそういったコーヒーの様々な楽しみ方の一つと言っても良いでしょう。

デカフェはコーヒーが愛されている証拠

デカフェが生まれた経緯は分かりませんが、きっとカフェインが取れない人が、美味しいコーヒーを飲みたいと思った結果なのでしょう。デカフェ、そしてカフェインレスコーヒーというのは、色々と試行錯誤してでも飲みたいと思うくらい、コーヒーが愛されている証拠だと思います。

次の新しいコーヒーの形は?

現在最も優れているデカフェ方法は超臨界二酸化炭素抽出法で、この方法では99%のカフェインを除去することが可能ですが、設備投資に費用がかかるなどの理由であまりメジャーとは言えません。今後、カフェインの除去率や費用面でこれよりも優れたデカフェの方法が出てくれば、カフェインレスコーヒーもより広く普及することでしょう。

また、デカフェに限らず、想像もつかないような新しいコーヒーの楽しみ方も出てくると思います。ここ数年では、窒素ガスを含ませたアイスコーヒー、”ニトロブリューコーヒー”といった、斜め上を行く発想のものも出てきているので、コーヒーはまだまだ、これからもっと面白くなるでしょう。

これからのデカフェや新しいコーヒーの形について、まだまだ目が離せません。