コーヒードリッパー

コーヒーポットの役割と、プアオーバーにオススメのコーヒーポット

【2018-04-14】

コーヒーポット おすすめ

コーヒーポットについて

プアオーバーには欠かせない存在

コーヒーを淹れると一口に言ってもフレンチプレス、エアロプレス、サイフォン、ベトナム式・・・、色々な淹れ方がありますが、一番最初に思い浮かべるのはやっぱりドリッパーの上からお湯を注いでコーヒーを淹れるプアオーバーかと思います。そんなプアオーバーでコーヒーを淹れるのに欠かせないのが、コーヒーポットです。

コーヒーポットというとなんだかコーヒーがなみなみ入ったポットという印象を受けますが、簡単に言うとプアオーバーでコーヒーを淹れるために使用する専用のやかんです。やかんと同じようにステンレス製のものが一般的ですが、ホーロー製の物も販売されています。

やかんと表現しましたが、やかんとコーヒーポットの異なる点としては、コーヒーポットのほうが基本的に小さく縦長で、取っ手が本体上部ではなく側面についていて、お湯の注ぎ口が細くなっているという点が挙げられます。

コーヒーポットの役割

お湯を注ぐだけで良いのならコーヒーポットじゃなくてやかんでも良いのでは?と思う人もいるかもしれませんが、プアオーバーで美味しくコーヒーを淹れるためにはお湯を細く安定して注ぎ続けるという技量が必要になります。その際に、通常のやかんではお湯の注ぎ口が太すぎてお湯を細く安定して注ぎ続けるということが難しいのです。ですが、コーヒーポットであればお湯の注ぎ口が細くなっているため、やかんに比べてお湯を細く注ぎ続ける事が比較的容易となります。つまり、コーヒーポットはコーヒーを美味しく淹れるために必要な道具というわけです。

お湯を細く注がなければいけない理由

そもそも何故、コーヒーを美味しく淹れる為にお湯を細く安定して注ぐ必要があるのかという話をしておきたいと思います。まず、プアオーバーでコーヒーを淹れる際、細かい点を省くと、

  1. コーヒーフィルターをドリッパーにセットする
  2. コーヒーフィルターに挽いたコーヒー豆を入れる
  3. ドリッパーにお湯を注ぐ

上記の工程でコーヒーを淹れるかと思います。お湯を注ぐときに気をつけるべき事として、全体に満遍なくお湯が行き渡るようにしつつ、ドリッパーの端のコーヒー豆とコーヒーフィルターの接点にはお湯を注がないように注意します。端に注いでいけない理由は、端の方に注がれたお湯は挽かれたコーヒー豆の中を通らずそのまま下に流れていってしまい、結果的に薄いコーヒーが抽出されてしまうためです。

最初は蒸らしためにお湯を注ぎます。蒸らしの際はコーヒー豆全体が満遍なく蒸らされるように、かつコーヒーが抽出されない程度にお湯を注ぐのですが、この時に通常のやかんで行うと湯量の調節が難しく、注ぎすぎてコーヒーが抽出されてしまったり、ドリッパーの端の方にお湯を注いでしまう可能性があります。ですが、コーヒーポットでお湯を注ぐと注ぎ口が細い事もあり湯量の調節が簡単になり、コントロールも効きやすくなるため、お湯の注ぎ過ぎや端の方に注いでしまうといった事がなくなります。

蒸らしが済んだら、コーヒーの抽出をします。お湯を注ぐスピードや量は人によって好みがあるため微妙にバラバラかもしれませんが、基本的にドバっと勢い良く注ぐことはありえません。ですが、やかんでお湯を注ごうとする場合はそうなってしまう場合があります。勢いよくお湯を注いではいけない理由としては、まずドリッパー内部の挽いたコーヒー豆が凹んで、お湯がコーヒー豆と接触する時間が減るためです。これはイメージし易いと思いますが、勢い良くお湯を注いだ箇所が凹み、その部分にお湯が注がれると凹んだ分だけお湯が下に落ちるまでの間に接触するコーヒー豆の面積が少なくなり、結果的にコーヒーが薄くなってしまいます。凹ませないためにはゆっくり静かにお湯を注ぐ必要があるので、そのためにコーヒーポットが必要となります。

また、勢い良くお湯を注ぐことはコーヒー豆が凹んでしまうだけではなく、雑味も一緒に抽出してしまう原因になります。コーヒー豆にお湯を注ぐと、アクが出てきます。これには雑味が含まれていて、一緒にコーヒーとして抽出したくない成分です。通常、ゆっくり静かに細くお湯を注ぎ続ける場合はこのアクはコーヒー豆の表面にたまり続けるため心配しなくて良いのですが、お湯の注ぎ方が乱暴だとドリッパー内がかき回されるのと同時にこのアクが内部に入り込んで抽出されてしまい、雑味を多く含んだコーヒーになってしまいます。

これらのように、お湯を勢い良く注ぐことはコーヒーの味を大きく損なう原因となります。だからこそプアオーバーでコーヒーを美味しく入れるためにはお湯をコントロールしつつ静かに安定して注ぐ必要があり、そのためにコーヒーポットを使用する必要があるのです。

コーヒーポットの選び方

プアオーバーでコーヒーを美味しく淹れるには欠かせないコーヒーポットですが、一口にコーヒーポットと言っても種類はたくさんあります。先に述べた材質については勿論、注ぎ口の形状、持ち手の形、蓋が取れたり取れなかったり・・・。いざ購入するとなった場合に、自分にあう合わないは実際にコーヒーを淹れてみないと分からないことも多いため、見た目の好みで選んでしまっても良いと思います。また、多くに支持されるコーヒーポットもありますので、レビューなどを参考にして決めるのも良いかと思います。勿論、雑貨屋などに置いてあれば手にとってみるのが良いでしょう。

代表的なコーヒーポット

コーヒー達人・ペリカン

コーヒー達人・ペリカン

出典:©Kalita Co., Ltd

コーヒー達人・ペリカンはカリタが販売するホーロー製のコーヒーポットです。このコーヒーポットの特徴は何と言っても注ぎ口の形状で、くちばしのように細くなっているためお湯のキレが良く、またお湯を安定して細く注ぎやすいようになっています。もちろん、太く勢い良く注ぐことも可能です。

ただし、注ぎ口の先端ではなく根元の部分、ボディとの接続部分が太くなっているため、コーヒーポットを傾けた際にその部分にお湯が溜まってから注ぎ口に向かって流れていき、「これくらい傾ければお湯が出るだろう」という感覚よりも傾けないとお湯が出ないため、使い始めはその感覚を掴む必要があります。

コーヒー達人・ペリカン 注ぎ口

出典:©Kalita Co., Ltd

給水口が広いため洗い物の際にも底まで手が届きやすく、コーヒーを淹れた後の片付けの手間も比較的少ないです。欠点があるとすれば、大きいサイズしかないので、数人分なら良いのですが1人分だけのコーヒーを淹れる為に使うには少々大きすぎるという点です。ただ、大きくてもホーロー製のため軽いので、身体的な負担はあまりかかりません。

直火での湯沸かしは可能ですが、IHには対応していませんのでそちらも注意が必要です。

カリタ ホーロー製ポット コーヒ-達人・ペリカン 1L ホワイト #52125

カリタ ホーロー製ポット コーヒ-達人・ペリカン 1L レッド #52123

2色しかありませんが、色も選べます。

ユキワ 18-8 M型

ユキワ 18-8 M型コーヒーポットは、三宝産業という新潟県に本社を置くステンレス製品のメーカーが製造するコーヒーポットです。ユキワ、というのは三宝産業が展開するブランド名で、数あるステンレス製品のうちの一つが、この18-8 M型コーヒーポットです。

ユキワ 18-8 M型 コーヒーポット

出典:©SAMPO SANGYO Co.,Ltd.

このユキワのコーヒーポットは喫茶店やコーヒーショップでも多く利用されており、見かけた事がある方も多いかと思います。沢山の人に支持されるだけありその品質は良く、厚手のしっかりとしたステンレスで出来ており、フタが本体から離れないように”パカパカ”となるようになっているので、お湯を注いでいる途中にフタが落下してしまうと言った心配がありません。

注ぎ口は特別細くなっているわけではありませんが、こちらのコーヒーポットもボディと注ぎ口の接続部分が太くなっているので注意が必要です。

目立った欠点はありませんが、強いて言えば給水口からポットに手を入れることができないので少々洗い物がしにくい、と言った程度です。また、このユキワのコーヒーポットを使用すれば簡単に細く安定してお湯を注ぐことが出来る、というわけではありません。難易度の差はあれどのコーヒーポットにも言えることですが、ある程度”慣れ”が必要です。

こちらも直火での湯沸かしは可能ですが、IHには対応していません。

ユキワ 18-8 M型 コーヒーポット 3人用

ユキワ 18-8 M型 コーヒーポット 5人用

ユキワ 18-8 M型 コーヒーポット 7人用

新潟の会社が製造しているステンレス製品だけあってとても頑丈な作りをしているので、長く愛用できるコーヒーポットです。容量が400cc、750cc、1000ccの3サイズから選ぶ事ができ、用途や場面に合わせた使い分けも可能です。

タカヒロ コーヒードリップポット

タカヒロ コーヒードリップポットはタカヒロが製造するコーヒーポットです。タカヒロは、三宝産業と同じく新潟県に本社を置くステンレス食器等を製造するメーカーで、コーヒーポットは取扱商品の一つです。

タカヒロ コーヒードリップポット 0.5ml

出典:© TAKAHIRO Inc.

特徴は先端から根本まで細い注ぎ口で、比較的容易に細くお湯を注ぐことが可能となっています。根本も細いため、傾けた際にお湯が出るまでの感覚は掴みやすいと思います。また、先端付近の曲がり具合も重要で、角度がつくことでドリッパーとの距離(高さ)をなるべく離れないようにしつつ、かつなるべく中心にお湯を注ぐといった事が出来る様になっています。その他、給水口が広く取られているので洗い物のとき手が入れられるので手入れも簡単です。

タカヒロ コーヒードリップポット 0.5L 18-8ステンレス

タカヒロ コーヒードリップポット 0.9L 18-8ステンレス IH対応

タカヒロ コーヒードリップポット 1.5L 18-8ステンレス IH対応

0.5L、0.9L、1.5Lの3サイズから選ぶことが出来ます。殆どの場合は0.5Lで事足りるかと思います。0.5Lは底面が小さいためIH非対応ですが、0.9Lと1.5LはIHで使用可能です。

タカヒロ コーヒードリップポット 雫

タカヒロ コーヒードリップポット 雫はタカヒロのコーヒードリップポットの注ぎ口が更に細くなっているバージョンのコーヒーポットです。通常のものでも細い注ぎ口が更に4mmほど細くなり、更に繊細な注湯を可能にしています。

タカヒロ コーヒードリップポット雫 0.5ml

出典:© TAKAHIRO Inc.

タカヒロ コーヒードリップポット 雫 0.5L

タカヒロ コーヒードリップポット 雫 0.9L

雫には1.5Lサイズはなく、0.5Lと0.9Lの2サイズのみとなります。通常のコーヒーポットと同様0.5Lは底面が小さいためIH非対応ですが、0.9はIHで使用可能です。

欲しいコーヒーポットがIH非対応の場合

お湯をコーヒーポットで沸かす必要はナシ

ここまでコーヒーポットを紹介しましたが、物によってはIH非対応のものもあります。本当は欲しいものがあるけど、IHに対応していないから仕方なく別のものを購入しようか・・・、と考える方もいるかもしれませんが、そもそもコーヒーポットでお湯を沸かさなければいけないというルールはありません。コーヒーポットでお湯が沸かせないのなら、やかんでお湯を沸かしてコーヒーを淹れるときにコーヒーポットに移し替えてお湯を注げば良いのです。

デメリットを上げるとすれば、やかんからコーヒーポットにお湯を移し替える手間と、お湯の温度が下がりすぎないように事前にコーヒーポットを保温する場合がある、といった程度でほとんど手間ではありません。また、ある程度コーヒーポットの外観も気にする方は、直火を使えてもあえて直火で使用せずお湯を移し替えて使用することで、長く使い続けても焦げた跡などがつかず長くキレイな見た目を保つことが出来ます。

そのため、個人的には直接コーヒーポットでお湯を沸かすのではなく、やかんで沸かしたお湯をコーヒーポットに移してコーヒーを淹れる、という方法をオススメします。

コーヒーポットは良いものを選ぼう

コーヒーポットは一生モノ

今回紹介したコーヒーポットは、世に出回っているコーヒーポットの中でも少々値段の張るものです。ですがその分品質はよく、よほど強い衝撃を何度も加えたりしなければ一生使えるといっても過言ではないと思います。

最初のほうにも書きましたが、コーヒーポットは実際に使用してみないと自分にとって使いやすいかは分かりません。そして、どれを使用しても最初からすんなり使いやすいと思うことはあまりないと思います。つまりはどれにしても最初はコーヒーポットに慣れるという作業が必要です。そして、コーヒーポットを使用していくうちに扱いにも慣れたのならコーヒーポットをわざわざ変える必要もありませんし、慣らした物を長く使うためにも品質が良いものを選ぶのが良いのです。

コーヒーポットをもっている方も、いない方も、ぜひ自分にあったコーヒーポットを探してみてください。