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失敗しない電動コーヒーミルの選び方と、オススメコーヒーミル4選

麻袋とコーヒーミル

電動コーヒーミル(グラインダー)の種類について

並んだ2つのコーヒーミル

コーヒー機器メーカー各社から家庭用の電動コーヒーミルが販売されていますが、これらの製品の主な違いは、機能の他に、コーヒー豆を挽く刃の形状の違いにあります。刃の形状は主に3種類に分けられ、それによってコーヒー豆の挽かれ方が異なるため、コーヒーを淹れる方法によっては向き不向きがあったり、そもそも均一にコーヒー豆を挽くことが難しいものもあります。

まずは、コーヒーミルの3種類の刃と、それぞれの特徴について解説していきます。

プロペラ式(ブレードグラインダー)

プロペラ式コーヒーミル

出典:©Melitta Japan Ltd.

プロペラ式のコーヒーミルは、薄くて平べったい、プロペラ状の2枚の刃を高速で回転させてコーヒー豆を挽きます。切り刻む、というよりは打撃によって粉砕するといった形式であるため、均一に挽くことが難しく、かつ微粉が発生しやすいため、オススメはできません。美味しいコーヒーを淹れるのが最優先であれば、プロペラ式のコーヒーミルは向いていないでしょう。

プロペラ式のコーヒーミルのメリットを挙げるとすれば、電動コーヒーミルの中でも安価であることと、比較的小さく省スペースであるという点です。しかし、それ以外にオススメ出来るポイントはありませんので、よほどの理由がない限りはプロペラ式ではない、別の刃のコーヒーミルをオススメします。

カット式(フラットカッター)

カット式コーヒーミル

出典:©Melitta Japan Ltd.

カット式は、表面に鋭い凹凸が入った2枚の1組の円盤状の刃の片方を回転させることにより、コーヒー豆を切り刻むように挽きます。フラットカッターとも呼ばれます。2枚の刃の間隔広く・狭くすることで、コーヒー豆の粗さを調整することが可能です。

カット式のコーヒーミルは、素早く、かつ均一にコーヒー豆を挽くことが可能で、微粉も少なく、どんな粗さで挽く場合でも安定して挽くことが出来る非常に優秀なタイプのコーヒーミルです。ただし、製品にもよりますが、極細挽きなどには向いていないものが多いため、本格的なエスプレッソを淹れたいといった場合には少々不向きかもしれません。しかし、十分細挽きにすることは可能なので、あまりこだわらない場合はカット式で十分でしょう。

プロペラ式と比較すると性能面でカット式が劣っている点はありませんが、コーヒーミルのサイズ・値段はカット式のほうが大きくなります。しかし、置き場に困るほどの大きさではありませんし、価格分の満足度は得られるので、ほとんどデメリットはないと言って良いでしょう。

コニカル式(コーン式)

コニカル式コーヒーミル

出典:©Melitta Japan Ltd.

可動する円錐状の内刃とそれを囲う外刃によってコーヒー豆を挽くタイプの刃をコニカル式と呼びます。円錐状の内刃が回転することで、外刃との間ですり潰すようにコーヒー豆が挽かれます。細く挽きたい場合は内刃と外刃の隙間を狭く、粗挽きにしたい場合は隙間を広くすることで、挽き目の調整が可能です。

コニカル式は、どちらかというとカットするというよりも砕くといった方式であるため、カット式と比較すると挽かれたコーヒー豆はやや均一性に欠けます。しかし、雑味の原因となる微粉は比較的出にくくなっています。

また、コーヒー豆を挽く際の刃の回転が比較的低速であるため、他の形状の刃よりもコーヒー豆を挽いた際の摩擦による熱が発生しくいのも特徴です。コーヒー豆は熱に弱く、それによって風味が劣化しやすいため、コニカル式のコーヒーミルで挽いたコーヒー豆であれば、より風味を残したままのコーヒーを楽しめるでしょう。

コニカル式のコーヒーミルは、カット式よりもよりコーヒー豆をより細挽きに出来る製品が多いため、エスプレッソを楽しみたい人はコニカル式のコーヒーミルを購入するのが良いでしょう。

結局どれが一番良いの?

遠くを見つめる女性

3種類の刃の特徴についてはなんとなく分かったと思いますが、まだピンと来ない方もいるかと思います。そこで、結局の所どれを選ぶべきなのか、選ぶべきコーヒーミルについてまとめていきたいと思います。

プロペラ式は値段が安いけど・・・

プロペラ式のコーヒーミルは値段が安く、初めてコーヒー豆を挽く初心者の方がお試しで、という気持ちで購入するパターンが多いと思います。しかし、先に述べたように、プロペラ式のコーヒーミルはコーヒー豆を均一に挽くことが難しく、そのコーヒー豆で淹れたコーヒーは抽出にムラができてしまい、コーヒー本来の味わいを引き出すことができません。

初めてコーヒー豆を自宅で挽いて、コーヒーを淹れて飲むという体験をより感動のあるものにするためにも、初心者の方こそ安価であるという理由でプロペラ式のコーヒーミルを購入するのは避けたほうが良いでしょう。

カット式、コニカル式がオススメ

電動コーヒーミルを購入するなら、オススメはカット式かコニカル式のコーヒーミルです。コーヒー豆を挽く方式が異なるため微妙に一長一短がありますが、どちらでも十分キレイにコーヒー豆を挽くことができます。

カット式とコニカル式の2択で更に選ぶなら、どちらかというと、挽いたコーヒー豆の均一性が高くなりやすく高速で挽くことが出来る、取り回しが良いカット式が良いでしょう。しかし、挽いたコーヒー豆の均一性は刃の形状以外にも個々の製品の性能にも左右されるため、全てにこれが当てはまるわけではありません。そのため、どちらの方式のコーヒーミルが良いかは製品毎にも違ってくるということは覚えておきましょう。

カット式、コニカル式の注意点

プロペラ式よりも性能の良いカット式とコニカル式のコーヒーミルですが、どちらも刃を清掃する場合は分解する必要があります。分解と言っても大掛かりなものではなく、プラスドライバーやマイナスドライバーがあれば十分ですが、プロペラ式のコーヒーミルに比べると少々手間がかかります。

コーヒーミルの刃の清掃はコーヒー豆を挽くたびに行うものでもありませんので、それほど大変なことではないのですが、1週間に1回や1ヶ月1回程度、そういった手入れも必要になるということに注意しておくと良いでしょう。

ちなみに、フードプロセッサーは”論外”

フードプロセッサーにコーヒー豆用のミルが付属している場合がありますが、これはプロペラ式の刃であるためコーヒー豆をキレイに挽くには不向きです。フードプロセッサーを購入して、たまたま付属していたミルでコーヒー豆を試しに挽いてみよう、程度だったら構いませんが、フードプロセッサーとコーヒーミルがセットだなんてお得!、と思っている方は、コーヒーミルは”おまけ”であるということに気をつけましょう。

美味しいコーヒーを飲むのなら、コーヒーミルは、コーヒーミル単体の製品を選びましょう。

迷ったらコレ!オススメの電動コーヒーミル

一方通行

コーヒーミルの刃によって、コーヒー豆の挽かれ方の特徴が異なるのはある程度把握できたと思います。しかし実際は、例えば同じカット式のA社とB社のコーヒーミルであっても、コーヒーミルの製品自体の違いがあるため、A社のコーヒーミルのほうがより均一にコーヒー豆を挽けるなど、結果に差が出てきます。つまり、刃の形状だけで選ぶとイマイチな製品を購入してしまう可能性があるということです。コーヒーミルを実際に試してみて購入、というのはなかなかできませんので難しい問題でしょう。

そこで、ここでは購入して間違いのない、カット式とコニカル式の電動コーヒーミルをいくつかご紹介したいと思います。

カット式コーヒーミルのオススメ製品

まずは、カット式のコーヒーミルでオススメすることが出来る製品です。

カリタ コーヒーミル ネクストG 電動ミル 61090 アーミーグリーン

フジローヤル 小型高性能ミル みるっこDX 【スタンダード】 ブラック R-220

カリタが販売する”ネクストG”は、家庭用の定番コーヒーミル”ナイスカットミル”の後継機です。挽かれたコーヒー豆の飛散が少なく、従来の製品よりもモーターの回転を抑えることで摩擦熱の低減と静音性、挽かれたコーヒー豆の均一性を向上させています。

難点があるとすれば、前述したとおりモーターの回転数が低減されているため、コーヒー豆を挽く速度が遅めであるという点です。カット式のコーヒーミルは素早い挽きが特徴であるため、ネクストGはその点イマイチに思えますが、20g〜30g程度のコーヒーを挽くのであれば1分も2分もかかるわけではありませんので、気にするポイントでないでしょう。

フジローヤルの販売している”みるっこDX”は、業務用のコーヒーミルの性能をそのままに、コンパクトにして家庭用として販売されているコーヒーミルです。特徴はなんと言っても挽いたコーヒー豆の均一性の高さで、家庭用コーヒーミル製品としてはトップクラスでしょう。自宅でコーヒーの味を最大限追求したい方にオススメです。

デメリットがあるとすれば、付属の粉受け(挽いたコーヒー豆を受ける容器)がプラスチック製であるため、コーヒー豆を挽いた際に発生する静電気によって挽かれたコーヒー豆が飛散する点です。これについては、粉受けを静電気の影響を受けにくい材質に替えるなどして対応する必要があるかもしれません。また、本体重量が5kgほどあり、他の家庭用の電動コーヒーミルと比較すると重い部類になります。

コニカル式コーヒーミルのオススメ製品

次は、コニカル式電動コーヒーミルのオススメをご紹介します。

OXO ON コーヒーグラインダー 電動式 バリスタブレイン スケール付き 国内仕様 8710200

デロンギ コーヒーグラインダー 「デディカ」 KG521J-M

アメリカのキッチンツールの販売会社OXO(オクソー)が販売する”バリスタブレイン”はデジタル制御のコーヒーミルで、フレンチプレス用の粗挽きからエスプレッソ用の極細挽きまで、38段階の粗さでコーヒー豆を挽くことが可能です。また、スケール(秤)が内蔵されており、淹れたいコーヒーの量や挽きたいコーヒー豆の重量を選択するだけで、コーヒーミルが自動的に適切な量のコーヒー豆を挽いてくれるという、とても高機能な製品となっています。もちろん、従来のコーヒーミルのように挽きたい分だけ挽くことも可能です。

コーヒー豆の挽目、使用方法、手入れ、どこから見ても優秀な製品で、オールマイティに活躍してくれるでしょう。

イタリアの家電ブランドで、日本ではエスプレッソメーカーやオイルヒーターでお馴染みのデロンギは、”デディカ”というデジタル制御式のコーヒーミルを販売しています。18段階で挽目を調整することが可能で、エスプレッソからフレンチプレスまで対応することが可能です。また、淹れたいコーヒーの杯数を選択することで、自動的に適切な量のコーヒー豆を挽いてくれる機能も搭載しています。

また、刃の部分はもちろん、粉受けの下の土台の部分など、細かいパーツの取り外しが出来るようになっているため、清潔に保ちやすい構造になっているのもメリットです。付属のコンテナには蓋がついていて、挽いたコーヒー豆をそのまま保存できるようにもなっています。

満足の行くコーヒーミルに出会うために

コーヒーを飲む男女

コーヒーミルの購入は、安い買い物とは言えません。なるべくはじめから満足のいく製品に出会うために、以下のポイントを抑えてコーヒーミルを選ぶことをオススメします。

コーヒーミルは電動のものを選ぶ

とりあえず初めは手動のコーヒーミルで、と考える人もいるかもしれませんが、手動のコーヒーミルは意外と手間がかかりますし、コーヒー豆をキレイに均一に挽くことも出来ません。これが原因で、美味しいはずのコーヒーがあまり美味しくなくなったり、コーヒーを飲むのは手間だと考えてしまうと勿体無いです。少し背伸びしてでも、電動のコーヒーミルを購入しましょう。

ただ、手動のほうが趣があって良い、インテリアも兼ねてコーヒーミルを選ぶ、といった雰囲気を楽しむ目的であれば手動のコーヒーミルで良いと思います。しかし、美味しいコーヒーを淹れるのが目的であれば手動ではなく電動のものを選ぶようにしましょう。

試しに買ってみる、はやめる。やるくらいならお店で挽いてもらう

電動コーヒーミルの安い価格帯のものはプロペラ式のコーヒーミルなどが多く、満足の行く製品はおそらくないでしょう。そういった微妙なコーヒーミルでコーヒー豆を挽くくらいであれば、コーヒー豆の専門店でコーヒー豆を購入した際に、業務用のキレイにコーヒー豆を挽くことができるコーヒーミルでその場で挽いてもらうほうが良いでしょう。ただ、この場合はコーヒーの劣化速度が早くなるため、すぐに飲みきらなければいけなくなってしまいます。

そう考えると、やはり自宅でキレイにコーヒー豆を挽くことが出来るのが最良です。となると、中途半端に安いコーヒーミルは購入せず、多少値が張ってもしっかりとしたコーヒーミルを選ぶようにしましょう。

コーヒーミルの種類は多くない、支持を得ているものを購入する

家庭用の電動コーヒーミルは、それほど多くの種類が販売されているわけではありません。悪く言えば選択肢が少ないのですが、良く言えば選びやすいとも言えます。種類が少ないため、コーヒーミルについて調べると誰もがオススメしているコーヒーミルがいくつかあるはずです。何を買ってよいか迷う場合は、それらの製品を購入するのもアリでしょう。

また、個人や通販サイトなどのレビューも参考にして、誰が使っても満足している、万人受けする製品を選ぶと失敗しにくいでしょう。

コーヒーミルとは長く付き合う相棒

コーヒーミルを購入して、それが満足のいく製品であれば、壊れない限りは数年単位で付き合って行くことになります。だからこそ、はじめからより良い製品を選ぶ努力が必要です。コーヒーを飲むためには絶対に必要な、コーヒーライフの相棒を探すつもりで選んでみてください。