世界各国のコーヒー豆 -ブラジル・キリマンジャロ・モカ-
【2018-01-10】
コーヒー豆について
コーヒー豆とは?
コーヒー豆は大豆などのようなマメ科の植物ではなく、”コーヒーノキ”というアカネ科コーヒーノキ属の植物の種子です。コーヒーノキは白い花を咲かせた後、コーヒーチェリーと呼ばれる楕円形の果実をいくつも実らせ、その果実の中にコーヒー豆が内包されています。
青いコーヒーチェリーが赤く熟すると、収穫が行われます。収穫されたコーヒーチェリーは果肉をつけたまま乾燥、もしくは果肉を取り除いた後に水洗いして乾燥させ、脱穀した後に出荷されます。
コーヒー豆の産地
コーヒーノキは寒さに弱いため、赤道付近の気温の高い国でないと栽培が難しい植物で、コーヒー豆の生産国が熱帯地域の国々ばかりなのはそのためです。また、コーヒーの栽培が盛んな赤道付近の北緯25度から南緯25度の範囲はコーヒーベルトと呼ばれています。
コーヒー豆を生産する国は現在は60カ国以上あります。最も生産量が多いのはブラジルで、次いでベトナム、コロンビアの生産量が多くなっています。
コーヒー豆の品種
コーヒー豆の品種は、大別すると3種類に分けることが出来ます。一つはアラビカ種と呼ばれ、エチオピアを原産とする品種です。アラビカ種は酸味が強く、香りが高いのが特徴で、ストレートで飲むことに向いていますが、霜や病気、虫害に弱く栽培が難しい品種です。亜種が多数存在し、品種によっても異なる特徴を持っています。世界で生産される6割以上のコーヒー豆はこのアラビカ種で、日本でコーヒー豆として流通しているのも基本的にはアラビカ種です。
2つめは、ロブスタ種です。厳密にはカネフォラ種と呼ばれるのですが、アラビカ種と違い亜種はなく、品種がロブスタに限られるためロブスタ種と一般的に呼ばれます。アラビカ種に比べ病気に強く、低地でも栽培することができ、栽培も比較的容易です。カフェインの含有量はアラビカ種に比べて多く、強い苦味を持ち、ストレートで飲むことには向いていません。ブレンドして飲むか、缶コーヒーやインスタントコーヒーの原料として利用されることが多い品種です。
3つめは、アフリカのリベリア共和国が原産のリベリカ種です。ロブスタ種と同様に低地でも栽培可能で、ある程度病気などにも強い品種ですが、サビ病には弱いようです。リベリカ種のコーヒーノキは非常に大きくなるため収穫が困難であること、味わいがアラビカ種に劣る等の様々な要因もあり、コーヒー豆全体の生産量のわずか数%しか生産されていません。主に自国消費や研究用として使用されるため、日本は勿論、一般的に流通することはまずありません。
これらの3つのコーヒーの品種をコーヒー豆の三大原種と呼びます。
ブラジル
ブラジルのコーヒー豆の歴史
先に述べた通り、ブラジルは世界で一番コーヒー豆の生産量が多い国です。最初のコーヒー栽培は1727年にパラー州と呼ばれる、ブラジルの北部に位置する土地から始まったとされています。1850年には世界の半分以上のコーヒー豆を生産するようになりました。
現在はサンパウロ州、ミナスジェライス州、パラナ州が主な生産地となっており、ブラジル全体では約350万人がコーヒー産業に携わっています。
ブラジルの特徴
ブラジルのコーヒー豆は、やわらかで酸味と苦味のバランスが良いのが特徴で、ブレンドのベースにも向いています。サントス港を通して出荷されたコーヒー豆で、サントスと呼ばれるものが有名です。
また、ブラジルのコーヒー豆は欠点豆・サイズ・カップテストの複数の評価を元に、No.2〜No.8のグレード(等級)に分けられます。ちなみにNo.1ではなくNo.2が最上級であるのは、農作物に欠点がないものはない(No.1はない)、という考えのもとでそうなっているそうです。
キリマンジャロ
キリマンジャロのコーヒー豆の歴史
キリマンジェロは、タンザニアのコーヒー豆です。タンザニアのキリマンジャロ山域で栽培されていることからキリマンジャロと呼称されています。タンザニアのコーヒー豆栽培は、1890年代にドイツ人が東ウサンバアという地域にコーヒー豆を持ち込んだことが始まりとされています。当初は雨が多く、労働者が不足していたこともあり栽培は上手く行きませんでしたが、その後キリマンジャロ山域で栽培が行われ、多くのコーヒー豆が生産されるようになりました。しかし、当初はキリマンジャロとしてのブランド価値はなかったそうです。
キリマンジャロの特徴
キリマンジャロは強めの酸味が特徴のコーヒー豆です。甘い香りの、すっきりとした飲み口のコーヒーを淹れることが出来ます。深煎りめにすると、キリマンジャロの持つ酸味と焙煎による苦味のバランスの良いコーヒーとしても楽しむことが出来ます。
キリマンジャロは、AAというグレードが最上級とされています。これはコーヒー豆のサイズと異物や欠点豆の混入度によって評価され、一定のサイズ以上のコーヒー豆かつ欠点豆が少ないものが、AAランクのキリマンジャロとして世に出回ります。
モカ
モカの歴史
モカはエチオピア及びイエメンで栽培されるコーヒー豆です。最初に栽培されていたのはエチオピアでしたが、コーヒー豆を出荷する為に利用していた港がイエメンのモカと呼ばれる場所であったため、モカと呼ばれるようになりました。
モカは、イエメンで栽培されたものは”モカ・マタリ”、エチオピアで栽培されたものは”モカ・シダモ”、”モカ・ハラー”、”モカ・イルガチェフ”等と呼ばれます。すべて栽培された地区の名前を取っていて、イエメンのモカ・マタリついては、”バニーマタル”という場所で栽培されたものを指します。
また、モカは混合種であり決まった品種のものを指すわけではないので、栽培される地域の環境による違いの他に、地域によって品種が微妙に異なるという点も味わいに違いが出る要因となっています。
モカの特徴
モカは酸味が強く、フルーティーな香りが特徴です。酸味が強いというと敬遠する方もいるかもしれませんが、とても上品な酸味なので酸味が苦手な方でも美味しく飲むことが出来ます。少々深煎りにすると、より飲みやすくなります。甘みもあり、ストレートで飲むのが最適です。
イエメンのコーヒー豆は明確なグレード分けがありませんが、エチオピアでは欠点豆の混入が少ないものからG1・G2・G3とグレード分けされます。モカ・イルガチェフェのG1は特に最高品質と名高いコーヒー豆です。
まだまだあるコーヒー豆の種類
自分好みのコーヒー豆を探そう
今回は3種類のコーヒー豆について触れてみました。同じコーヒー豆でも、原産地や品種によって味わいが全く異なります。また、格付けも地域によって異なるので、自分の思う高品質なコーヒーの条件と照らし合わせてコーヒー豆を選ぶというのも良いかもしれません。