コーヒードリッパー

ナチュラル?ウォッシュド?コーヒー豆の精製方式4つ

【2018-06-07】

コーヒー豆の生産処理

コーヒー豆の収穫

コーヒー豆は、コーヒーノキと呼ばれる植物が実らせるコーヒーチェリーという果実に内包されている種子です。コーヒーチェリーは始めは緑色ですが、実が熟すことで赤くなり、その後収穫されます。

コーヒー豆の精製

コーヒー豆として流通するにあたって、収穫したコーヒーチェリーの外皮や果実と種子を分離させる必要があります。この、コーヒー豆とそれ以外を分離する工程をコーヒー豆の精製と呼びます。コーヒー豆の精製にはいくつかの種類があり、この精製方式によって最終的なコーヒーの味わいに違いが出てきます。

ナチュラル

ナチュラル方式の特徴

ナチュラルと呼ばれるコーヒー豆の精製方式では、収穫したコーヒーチェリーをそのままの状態で乾燥させ、脱穀してコーヒー豆とする方法です。コーヒーチェリーのまま乾燥させるため、精製されたコーヒー豆はフルーツ感や甘みが強くなります。

ナチュラルという呼称の他にも”ドライ””アンウォッシュド”とも呼ばれます。エチオピア、ブラジル、イエメンなどで一般的に行われる精製方法です。

ナチュラル方式のコーヒー豆の精製を簡単にまとめると、以下のような流れになります。

  1. コーヒーチェリーを収穫する
  2. 乾燥させる
  3. 脱穀する
  4. コーヒー生豆の完成

ウォッシュド

ウォッシュド方式の特徴

ウォッシュドは、ナチュラルとは違い水でコーヒー豆を洗ってから乾燥させる方式です。収穫されたコーヒーチェリーは”パルパー”と呼ばれる機械によって大まかに外皮と果肉を除去されます。次に発酵槽と呼ばれる水の入ったタンクに入れられ、タンク内の微生物の力によって外皮と果肉を除去した後に残るミューシレージと呼ばれる粘性の物質を取り除きます。ミューシレージを取り除いた後は水洗いをして乾燥させ、脱穀機にかけられコーヒー豆となります。

ウォッシュド方式で精製されたコーヒー豆はクリアな明るい味わいになり、品質もある程度一定に保つことが出来るというメリットがあります。世界各地で広く行われている精製方式ですが、水で洗うという性質上きれいな水が必要不可欠であるため、必ずしも全ての地域でこの精製方式を取ることは出来ないようです。

ウォッシュド方式のコーヒー豆の精製を簡単にまとめると、以下のような流れになります。

  1. コーヒーチェリーを収穫する
  2. パルパーで外皮と果肉を除去する
  3. 発酵槽でミューシレージを取り除く
  4. 水で洗う
  5. 乾燥させる
  6. 脱穀する
  7. コーヒー生豆の完成

パルプドナチュラル

パルプドナチュラル方式の特徴

パルプドナチュラル方式は、ナチュラルとウォッシュド方式の中間のような精製方式です。ウォッシュドのようにコーヒーチェリーの外皮と果実は取り除きますが、ミューシレージは残してそのまま乾燥させて、脱穀を行います。

果肉除去の工程によって未成熟のコーヒーチェリーが選別されるため、ナチュラルよりも欠点豆が少なくなり、ミューシレージを残して乾燥させるためウォッシュドよりも甘みが出るようになります。欠点としては、水を使用しない分ウォッシュドよりもクリーンさに欠けるという点が挙げられます。

パルプドナチュラルはブラジルで生まれた精製方式で、ブラジル、コスタリカで盛んです。中央アメリカでは、ミューシレージを”ミエル”と呼び、ハチミツ(ハニー)の事も同じようにミエルと呼ぶため、中央アメリカ産のものはパルプドナチュラルではなくハニープロセスと呼称されます。また、ハニープロセスもミューシレージの除去率によって更に細分化され、

  • ブラックハニー:糖度が高く、ミューシレージを100%残して乾燥させたもの
  • レッドハニー:ミューシレージを100%残して乾燥させたもの
  • イエローハニー:ミューシレージを50%程度残して乾燥させたもの

上記のように分類されます。パルプドナチュラル方式のコーヒー豆の精製を簡単にまとめると、以下のような流れになります。

  1. コーヒーチェリーを収穫する
  2. パルパーで外皮と果肉を除去する
  3. 乾燥させる
  4. 脱穀する
  5. コーヒー生豆の完成

スマトラ

スマトラ方式の特徴

スマトラ方式は、果肉の除去、ミューシレージを取り除かずに乾燥させる部分まではパルプドナチュラルと変わりはありませんが、完全に乾燥する前に脱穀して生豆とし、生豆の状態で更に乾燥をさせます。これによって完全に乾燥するまでの期間が短くなり、独特の風味を生み出します。

スマトラという名の通り、インドネシアのスマトラ島で行われている精製方式で、インドネシアのコーヒーで有名なマンデリンもスマトラ方式で精製されています。雨の多い地域ゆえ素早く乾燥を行う必要があったためこの方式が取られるようになったそうですが、生豆の水分が多い状態で脱穀を行うため形が歪になったり、カビが生えやすくなってしまうという欠点があります。

スマトラ方式のコーヒー豆の精製を簡単にまとめると、以下のような流れになります。

  1. コーヒーチェリーを収穫する
  2. パルパーで外皮と果肉を除去する
  3. 半分ほど乾燥させる
  4. 脱穀する
  5. 完全に乾燥させる
  6. コーヒー生豆の完成

精製方式のまとめ

精製方式は生産国の知恵

代表的な精製方式についてのご紹介でした。これらの精製方式は、コーヒー豆生産国が、自国の環境に合っていてかつ美味しいコーヒーを淹れる事ができるコーヒー豆を生産するためにはどうしたら良いか、という考えや努力の元で生まれたものなのだと思います。環境の都合上生産地域が限られてしまうコーヒー生産国ですが、そんな各国の努力があって私達が美味しいコーヒーを飲むことが出来るということに、改めて感謝しなければいけないなと思います。

精製方式がわかるコーヒーショップ

すべてではありませんが、各コーヒー豆の精製方式はエンドユーザーにも知ることが出来ます。コーヒー豆の販売店に行けば精製方式が明確なコーヒー豆を扱っていることも多くありますので、是非様々な精製方式のコーヒーを飲み比べてみてください。

また、ネットショップでも精製方式を記載している場合があるので、近くにコーヒー豆を買う場所がない方は、こちらも参考にしてみてください。以下のコーヒーショップでは、全てではありませんが精製方式が記載されているコーヒー豆もあります。