微粉を取り除くだけで、コーヒーは手軽に、格段に美味しくなる
【2019-03-07】
コーヒーの味わいと微粉の関係
コーヒー粉の微粉(びふん)、というものをご存知でしょうか。毎日のようにコーヒー豆を挽いて飲む人には馴染みのある言葉かもしれませんが、初めて聞いた人もいると思います。微粉とコーヒーの味わいの関係に触れる前に、まずは微粉とは何なのか、簡単に説明していきたいと思います。
コーヒー豆が挽かれると?
コーヒー豆を、例えば電動のコーヒーミルで挽いた場合、ダイヤル等で設定した挽き目にあわせてコーヒー豆が挽かれます。細挽きに設定すればコーヒー粉が細かく(粒が小さく)なり、粗挽きにすれば目の荒い(粒の大きい)コーヒー粉が出来上がります。ですが、実際にはコーヒー豆を完全に均一に挽くことは出来ず、設定した挽き目より小さい、もしくは大きい粒が混じります。
そういった、コーヒー粉に混じる挽き目の異なる粒の中で、とても微細な粒(粉)の事をコーヒー粉の”微粉(びふん)”と呼びます。微粉はとても細かく、粒感のないサラサラとした手触りをしています。
微粉とはコーヒー粉に含まれる”微細な粉”
微粉は、コーヒーミルでコーヒー豆が挽かれたとき出る微細な粉で、豆がミルの刃に削られて細かく砕かれるときに、その断面から発生します。微粉が発生する量は、コーヒーミルの刃の回転速度や切断性能に左右され、基本的に高性能なコーヒーミルであるほど微粉の発生は少なくなります。
コーヒー粉に含まれる微粉が多いということは、それだけコーヒー豆を均一に挽くことが出来ておらず、無駄が発生しているということにもなります。微粉が発生するデメリットは他にもありますが、まずコーヒー豆のロスが発生するという観点で、コーヒー豆を挽くとき、微粉はできるだけ少ないほうが良いということを覚えておきましょう。
微粉が含まれたコーヒー粉でコーヒーをドリップすると・・・
微粉は無駄が発生しているだけではなく、コーヒーの味にも影響を与えます。微粉が多く含まれるコーヒー粉を使用してコーヒーをドリップすると、微粉からコーヒーの成分が過度に抽出されてしまい(後述)、雑味が多く出てしまったり、味のバランスが悪くなり、ぼやけた味のコーヒーになってしまいます。
コーヒー粉の微粉は、通常通り挽かれたコーヒー粉と同じで、コーヒー豆が粉砕されて発生するものではありますが、味を損なうため、コーヒーにとっては”良くないもの”なのです。そのため、美味しいコーヒーを飲むためには、なるべく微粉が含まれていないコーヒー粉を使用してコーヒーをドリップする必要があります。
微粉が含まれるとコーヒーが美味しくなくなるワケ
微粉が含まれていると、何故コーヒーは美味しくなくなってしまうのでしょうか。その原因と対処方法について見ていきましょう。
何故、微粉が含まれると美味しくないのか
微粉によってコーヒーの味が悪くなる原因ですが、例えば、中挽きで挽いたコーヒー粉があって、そこに中挽きの大きさの粒と、微細な粒の微粉が入り混じっているとします。ここにお湯を注いだとき、それぞれの粒にお湯が当たってコーヒーの成分が抽出されますが、粒の大きさ(粒度)が異なるため、同じ様にお湯を当てても、中挽きの大きさの粒と微粉では、コーヒー成分の抽出具合も異なってしまいます。
つまり、中挽きのコーヒー粉からは適度にコーヒーの成分が抽出されているのに、微粉からは過剰に成分の抽出が行われる、といったように、成分の抽出バランスが悪くなります。その結果、ドリップされたコーヒーの味もバランスが悪くなり、ぼやけた味だったり、過剰な抽出による雑味の多いコーヒーになってしまうのです。
根本的な原因は粒度の不揃い
お気づきの方もいるかと思いますが、厳密には微粉が含まれることだけが悪いのではありません。あくまで、微粉が含まれることで味の抽出のバランスが悪くなり、コーヒーの味も悪くなるということなので、根本的な原因は、コーヒー粉の粒度が均一では無いことにあるのです。
そのため、コーヒー粉になるべく微粉を含まないというのと同時に、コーヒー豆をなるべく均一に挽くことが、美味しいコーヒーをドリップするために必要な要素となるのです。
微粉を含まず、コーヒー豆を均一に挽くためには?
コーヒー豆をなるべく均一に挽くことが重要なのはわかりましたが、どうすればそうできるのでしょうか。まず大前提が、電動のコーヒーミルを使用することです。ただ、家庭用の電動コーヒーミルではコーヒー豆を完全に均一に、かつ微粉を含まずに挽くことは難しいでしょう。
そうなると業務用のコーヒーミルを・・・、ということになりますが、値段も非常に高額でサイズも大型になるので、現実的ではありません。そうなると現実的な選択肢として挙げられるのは、コーヒー豆を挽いた後に微粉を取り除いて、かつコーヒー粉の粒度を整えるという方法です。この方法であれば、費用をかけることなく、手元にある道具でもコーヒーの味わいを格段にグレードアップすることができます。
コーヒー粉の粒度を均一にする方法
コーヒー粉の粒度が抽出後のコーヒーの味わいに影響を与えることは分かりました。それでは、具体的にどうやってコーヒー粉の粒度を整えるのか、解説していきます。
自宅で取りうる方法は、挽いた後に整えること
前述したとおり、自宅でコーヒー粉の粒度をより均一にする方法として現実的なのは、コーヒー豆を挽いた後に粒度を整えることです。どうやって整えるのかというと、すごく単純なことで、コーヒー粉を”ふるい”にかけて、微粉など細かい粉を取り除いて粒度を均一にするのです。
コーヒー粉をふるうことで、微粉などの”ふるい”の目の粗さよりも小さなコーヒー粉を取り除くことが出来ます。”ふるい”の目が粗いほど多くのコーヒー粉が取り除かれるので、より粒度が均一になりやすくなります。逆に、目が細かいと、微粉のような細かい粉しか取り除かれないため、コーヒー粉の粒度は整いにくくなります。
”ふるい”にかけるということは、コーヒー粉の一部を捨てるということになります。この方法で粒度をより均一にしたいと思ったら、目が荒い”ふるい”を使う必要があって、必然的にコーヒー粉のロスも多くなるということを覚えておきましょう。
コーヒー粉の粒度を整えるための道具
家庭にもあるような身近な道具で、コーヒー粉の粒度を整えられる道具としては、茶漉しが挙げられます。茶漉しにコーヒー粉を入れ、左右に揺らして微粉などの細かい粉をふるうだけで、簡単に粒度を整えることができます。
また、茶漉しと方式は一緒ですが、コーヒー粉をふるうための専用の道具を謳ったものも販売されています。
コントロールストッカーは、目の粗さが異なる「アロマ」、「バランス」、「フルーティー」の3種類のメッシュフィルターと缶がセットになった製品で、缶にメッシュフィルターをセットしてコーヒー粉を入れ、フタをして上下に振ることでコーヒー粉をふるいます。フィルターが複数用意されているので、使用するフィルターの違い(粒度の均一性の違い)によって、コーヒーの味がどれだけ変わるのかを感じることができるのでオススメです。
その他、コーヒー粉をふるう事ができれば、道具は何でも構いません。手元に茶漉しがある人はまずそれを試してみるのも良いですし、コントロールストッカーを使用して、3パターンの均一性のコーヒー粉で淹れたコーヒーを飲み比べるのも面白いと思います。
細挽きの場合には使えないので注意
すでにお気づきかと思いますが、”ふるい”にかけるので、コーヒー粉が細挽きの場合には粉が全部落ちてしまいます。ですので、コーヒー粉が細挽きの場合は、この方法は使えません。中挽き以上の、ある程度粗挽きの場合のみ利用できる方法ということを覚えておきましょう。
粒度を均一にしたコーヒーの特徴
微粉などを取り除き、粒度を均一にするだけで、いつものコーヒーは格段に美味しくなります。すぐ始められて効果もあるので、ぜひ一度試してみて下さい。
粒度が均一になるとお湯の抜けが良くなる
コーヒー粉の粒度が均一になると、味の他にも変化があります。それは、プアオーバーでコーヒーをドリップするとき、”ふるい”にかけられることで粒度が均一になったコーヒー粉にお湯を注ぐと、そうでないコーヒー粉にお湯を注いだときよりも、お湯の抜け具合が良くなることです。これは、微粉などの細かい粉が取り除かれることで目詰まりがなくなり、スムーズにお湯がコーヒー粉の間を通っていくようになるためです。
お湯の通りが良くなる分、プアオーバーでのドリップの感覚が少し変わってしまいますが、お湯の注ぎ方がよりダイレクトに伝わるようになるので、今まで以上に思い通りのドリップをする事が可能になるでしょう。
整ったコーヒー粉で淹れたコーヒーは香り高い
粒度を均一にしたコーヒー粉で淹れたコーヒーは、粒度を整えていない同じコーヒーと比較して、格段に香りが良くなり、コーヒー豆のもつ個性が際立つようになります。粒度が均一であるほど、その差は顕著に現れます。
均一性による差を体感してみたい人は、3種類のメッシュフィルターが付属したコントロールストッカーを利用して、飲み比べて見るのがオススメです。
今から始められる、コーヒーを美味しくする方法
家に茶漉しがあれば、すぐにでもコーヒー粉の粒度を整えて、これまでとは違った味わいのコーヒーを楽しむことが出来ます。これほど手軽に始められて、非常に効果のある方法は他にはなかなか無いでしょう。
今よりもっと美味しいコーヒーを飲みたい、コーヒー豆の個性をもっと感じ取りたいという人は、ぜひ一度コーヒー粉の粒度を均一にしたコーヒー粉でコーヒーをドリップしてみて下さい。間違いなく、コーヒーの世界が今よりもっと広がるでしょう。